○ビッグデータ分析で、中国政府による検 閲の中身が明らかに ゲイリー・キング米ハーバード大学教授 に聞く

(長文のため、一部抜粋です。全文はソー スをご覧下さい)

-ビッグデータ分析で最もびっくりした発 見は何でしたか。

キング:1月に東京で開いた会議で、私は中 国の検閲について調べた論文を発表しまし た。これまでも多くの研究者が少しずつ中 国政府の検閲について研究していました。 たとえば、1つの投稿を見て、それが取り下 げ、あるいは抹消されるかどうか調べる、 といった感じです。細かいニュアンスを探 るのは大変困難でした。しかしこれを「鳥 の目」で眺めると、つまり何百万もの投稿 を同時に見たら、実際に何が起こっている のかがかなりつかめたのです。

-中国語の投稿ですか?

キング:そうです。何百万ものソーシャル メディアにおける中国語の投稿をダウン ロードして、中国政府が読んで検閲する前 に入手してしまうのです。

-本当ですか。どうやってやるのですか。

キング:コンピュータで超高速でダウン ロードするのです。

検閲をビッグデータで調べたケースは初め てです。私も最初は全然そんなことをする 気はなかったんです。もともとは、文章か ら情報を抜き出す分析手法の開発に力を注 いでいました。

・中国政府より早く投稿内容を入手

そのうち我々の考え出した技術を商業化し た「クリムゾン・ヘキサゴン」という会社 ができた。それで同社に「我々が開発した 分析手法を試したいので、私に中国語によ る投稿のデータを送ってほしい」と依頼し たんです。いわゆるストレステストです。

分析手法は英語で開発したので、もし使い 物になるのなら、英語とまるで違う言語で も使えるはずだと思ったのです。そして 我々はクリムゾン・ヘキサゴンからソー シャルメディアの投稿やURLを含む中国語 の投稿のデータを入手しました。それを分 析し、試行錯誤してみたところ、大変うま くいきました。

そして大学院の学生たちにこう指示しまし た。「この投稿が載っていたウェブサイト を見に行って確認してくれ」。私に中国語 は分かりませんが、彼らは分かります。分 析したテキストに広告が含まれていないこ とや、そして特定の投稿だけを抜き出して いないかどうかなどを確認しました。

院生が確認して、最初はクリムゾン・ヘキ サゴンのデータに何やら不具合があったの だろうかと思いました。というのも、投稿 が見つかっても、投稿に書いてあったURL をクリックしてもどこにも飛ばないという ケースが多々あったからです。そこで、そ の投稿を中国政府が検閲したのだと気づい た。

ということはクリムゾン・ヘキサゴンは最 初に、検閲前の生情報を手にできたので す。急きょ、研究テーマを検閲の分析に変 えました。

(>>2へ続きます)

□ソース:日経ビジネス http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20140124/258738/
・人海戦術で検閲している中国政府

中国政府は人の手で検閲しています。恐ら く、20万人ぐらいの担当者がいて、一つひ とつ投稿を読んで取り下げるかどうか決め ていると思います。大人数とはいえ人手で すから、しばらく時間がかかる。そこで 我々は彼らの目に触れる前に自動ダウン ロードしてしまう。

分かったことは、中国政府が監視している のは、とにかく「団体行動」であるという ことです。人を扇動したり、抗議行動に駆 り立てたり、政府以外の人間が他人をコン トロールしようとする発言は即刻検閲され ます。「うちの市長はカネに汚いし、たく さん愛人を囲っている。最低だ」と批判を 書き込んだところで、全く問題ありませ ん。しかし、そのあとで「ひどすぎる。抗 議に行こう」と発言したら、検閲される。

-興味深いですね。

キング:もっと言うと、例えば、「うちの 町のトップはすばらしい。コミュニティを 活性化しているし、我々の市民生活に貢献 してくれている。感謝の気持ちを込めてみ んなでパーティーを開こう」と発言して も、やはり検閲されます。政府は、自分以 外の何ものかが人を動員するのが許せない わけです。それが、今回の研究で分かった ことです。

たとえ政府に感謝したい会合でも、チェッ クされてしまうんですか。しかし、教授は 中国政府から何もされませんでしたか。中 国政府からコンタクトなどありましたか。

キング:中国政府が論文を読んだらしいと は聞きました。公開情報ですからあり得る でしょう。でも我々は手法を研究している だけで、何かを変えたい意図は全くないで すからね。

-なるほど・・・。中国政府が最も恐れて いるのは、とにかく団体行動である。キー ワードを使った分析はしないのですか。

キング:キーワードを使うのは、中国人が 「このwebを見にいこう」と書いた時だけで す。そのウェブをすぐ見に行き、そのサイ トを閉鎖するかどうかが判断できますか ら。しかしほかのケースは自動アルゴリズ ムによって分析しています。我々のノウハ ウです。

中国政府は恐らく、特定の話題に関する ソーシャルメディアを監視していて、特定 の話題が盛り上がる様子を眺め、突然投稿 者たちが1つの方向で議論を始めて明らかに 「炎上」した時に動くようです。団体行動 を実行に移しそうな炎上の仕方が見られる と、すべての炎上した投稿を削除してしま うのでしょう。それが、政府寄りだろう が、反政府寄りだろうが、関係ない。団体 行動の芽が見えたらとにかく取り締まる。

・とにかく集まろうとすると全部NG

では、靖国問題でどれだけ激しく議論して 罵倒が飛び交っていてもOKでも、「日本大 使館に集まろう」という話になってくる と、即刻取り締まると。

キング:そうです。国民がどんな意見を持 とうと気にしない。気にするのは行動のみ です。興味深いことに、意見に関しては、 ネット上で政府の幹部の批判をむしろ歓迎 している様子すらあります。あなたが、中 国政治を担っているとしてください。何を しますか?

最初にするのは、友人知人を違う地方やビ ジネスの責任ある地位に就かせて、違うこ とをそれぞれさせることでしょう。次にす るのは、誰に能力があって、誰が無能かを 知ることですよね。その1つの手がかりが ソーシャルメディアです。ですから批判は むしろ、政権にとって役に立っている。

-中国の人々は表現の自由があるわけです ね。

キング:ある意味では。個人としてはそう です。しかし団体としては鎖につながれて いるといっていいでしょう。

(以上です)



Android携帯からの投稿