安倍晋三首相はNHKの公共放送としてのあり 方に不信感を持ち、NHK改革にこだわってい る。第1次政権下でもNHKを所管する総務相 だった菅義偉官房長官と改革に着手した。しかし 退陣で道半ばに終わっており、改革断行は「悲 願」といえそうだ。

首相は月刊誌「WiLL」の平成21年8月号 に寄稿し、NHK批判をこう展開したことがあっ た。

「NHK職員は公共放送の責任をよく自覚する 必要がある。自分の主義や主張、イズムを放送を 使って拡大させようとするのは間違っている」

放送法に基づき政治的に公正で、事実を曲げな い報道を行い、意見が対立する問題は多角的に報 じるよう強く求める内容だった。

首相は、NHKから放送法に反するような「偏 向番組」がなかなかなくならないとみているの だ。

首相は第1次政権時代、慰安婦問題で昭和天皇 を一方的に裁いた民間法廷を取り上げた13年の 教育テレビ番組の放送などを問題視。経営委員長 に懇意の古森重隆氏(現・富士フイルムホール ディングス会長)を任命し、ガバナンス強化に取 り組んだ。

NHKはしかし、首相も古森委員長も退任した 後の21年4月、看板番組「NHKスペシャル」 で日本の台湾統治のマイナス面ばかりを強調し た。このため、取材した台湾の先住民らから抗議 を受けた。

首相周辺は「NHKには『表向きだけ取り繕っ ておけば大丈夫』というところがある」とその体 質を疑問視する。会長人事を通じ、NHKのあり 方を根本的に変えることができるかが問われる。 (桑原雄尚)



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