【北京】中国では新しい草の根運動の活動家が 夕食会を通じて意見交換を行っているおり、一党 独裁の共産党政権をいら立たせている。

毎月最後の週末に、反政府活動家は全国最大20 カ所で控えめな夕食会を開催し、法制度の欠陥か ら教育の不平等まで、さまざまな問題を話し合っ ている。主催者によると、会合は意識して目立た ないようにしている。しかし彼らの目標は、中国 を民主化するための土台を築くという大胆なもの で、この新しい運動は「新公民運動」と呼ばれて いる。

広告会社の元社員で、活動家らとオンラインで 出会い、夕食会の開催を手助けし始めたZhang Kunさん(26)は、「夕食を共にするのは違法で はない。我々のモットーは『食事で中国を変えよ う』だ」と語る。

新公民運動は緩やかな組織の市民運動で、9日か ら第18期中央委員会第3回全体会議(3中全会)を 開催する中国共産党に新たな難題を突きつけてい る。運動はエール大学への留学経験のある弁護士 が率いており、著名なベンチャーキャピタリスト が支援。実業界のエリート、中間所得層らを引き 付けている。夕食会は、汚職や不平等、警察の職 権乱用に反対する誓願運動やデモを主催するため に利用される。

これまでのところ当局は、予想された通りに対 応している。人権団体ヒューマン・ライツ・ウ オッチによれば、3月以降、新公民運動のリーダー を含めメンバー18人が拘束された。先週には、こ のうち3人について違法な集会開催などの罪を問う 裁判が開始された。

中国では、政府に不満を持つ農民や少数民族な どによる抗議行動が続出しており、時には暴力行 為も起きている。だが、新公民運動は政府にとっ ては別種の脅威で、現在の専制政治に代わる体制 を求めている教育水準の高い人々にアピールして いる。

数十年間にわたる急速な成長で恩恵を受けた 人々は、豊かになったことから社会問題に関心を 移し始めている。ソーシャル・メディアを通じて 結び付いた都市の専門職従事者は、公害から検 閲、さらには憲法でうたわれた市民の自由の侵害 をめぐって政府批判を強めている。

新公民運動のメンバーらは、革命を求めてはい ないと強調する。多くの中国人は、毛沢東時代の 暴力を伴った政変の記憶が残っており、混乱の時 代に戻ることを恐れている。メンバーらは、中国 の政府文化の段階的な変革を唱えている。

この運動の起源は、2010年にオンライン上で発 表された「公民の約束」と題する呼び掛けにさか のぼる。同提案では、「法の支配を弱める蔓延し ている腐敗と特権に打ち勝つために新たな公民の 文化を打ち立てる」ことを呼び掛けた。これに は、2004―07年にエール大学で客員研究員を務め た法学者の許志永氏や、ベンチャーキャピタリス トの王功権氏など改革派が賛同の声を挙げた。

呼び掛けは、食品安全の問題や腐敗が繰り返さ れることから政府への不信を募らせたリベラル色 の強いソーシャルメディア・ユーザーに徐々に広 がっていった。直接会って話したいと思うように なった新公民運動のメンバーらは昨年、疑念を呼 び起こさずに集まるために夕食を共にすることに した。

Zhang Kun氏によれば、夕食会での話し合いは 全員に意見を述べる機会を与えるため整然と行わ れる。参加者は議題を提案し、採決で取り上げる かどうかを決め、発言は割り当てられた時間内に 終える。

Zhang氏が政治に興味を持つようになったのは十 代で、インターネットで検閲の目を逃れるため日 本のポルノのウェブサイトに掲載されていた1989 年の天安門事件の動画をたまたま見たことがきっ かけだった。

昨秋発足した習近平政権が汚職の取り締まり強 化を打ち出すと、新公民運動の活動家らはその機 会をとらえて、11月にオンライン上に党幹部205 人の家族の資産公開を求める請願書を掲載した。 メンバーは、ピンを身につけたり、Tシャツを着た り、中国語で「公民」と書かれた傘を携行したり して仲間を見分ける。

活動家らによると、運動が話し合いから行動に 移り始めたことから、当局は弾圧に乗り出したよ うだという。当局は3月の全国人民代表大会(全人 代)直後に、北京中心部で新公民運動のメンバー 10人を拘束し、7月中旬にはリーダーの許志永 氏、9月には王功権氏を拘束した。

夕食会は、弾圧にもかかわらず続いている。だ が逮捕者が続いたことから、運動は大きな打撃を 受けている。Zhang氏は、定期的な夕食会に参加 する人の数は少なくなっていると指摘。さらに、 非暴力主義でいいのか再考する者も出ていると し、「多くの人が平和的な制度の移行について話 しても無駄だと思うようになっている」と述べ る。



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