石 平 (中国問題・日中問題評論家)

今年2月に韓国の朴槿恵大統領が就任して以 来、日韓関係はずっとこじれたままである。 もっとも、中国語が堪能で中国文化が好きな 朴氏は大統領になって以降、それまで韓国外 交の優先順位だった「米・日・中」を「米・ 中・日」へと変更したことから、いずれにし ても日韓のある程度の冷え込みは避けられな かったかもしれない。しかしそれにしても、 この半年間の日韓関係のこう着状態はあまり にも異常である。

朴大統領は安倍首相との首脳会談を頑なに 拒む一方、国内外のありとあらゆる機会を使 って日本に対する批判を繰り広げた。訪米中 に米議会で演説を行う時でも、名指しを避け ながらもあからさまな日本批判を展開した。

挙げ句の果てには、韓国訪問中のヘーゲル 米国国防長官に対して「歴史に逆行した発言 をする日本の指導部のせいで、信頼を築けな い」と述べた。一国の大統領でありながら、 「安倍君が悪い」という小学生レベルの告げ 口をする有り様である。その結果、現在の日 韓関係が最悪の状況になっていることは周知 の通りだ。

「竹島問題棚上げ」で関係改善が 韓国にとって有利だった

しかし、それは一体何故なのだろうか。本 来なら朴大統領の就任は、前任の李明博大統 領が竹島上陸を断行して以来悪化した日韓関 係を修復するための絶好のチャンスであった 。

去年の12月末、朴氏が大統領に選出され た直後に、日本側の安倍政権はさっそく韓国 への特使派遣を決めたのと同時に、今年2月 22日に開催する予定だった政府主催「竹島 の日」式典を見送る方針を固めた。安倍政権 にとって「公約違反」となる開催見送りに踏 み切ったことは、韓国の新大統領に対する最 大限の配慮であり、「竹島問題」で韓国と喧 嘩するつもりがないことを明確に示していた のだ。

もし朴大統領が日本側のこのような行動を 好意として受け止め、「竹島問題」を棚上げ にした上で、日本との関係改善にこぎ着けよ うとしたならば、それは実に簡単なことだっ たはずだ。もちろん韓国の国益にも大いにか なうことであろう。本来なら日本の領土であ る竹島は事実上韓国によって実効支配されて いる状況下では、この問題を棚上げにしたま まの関係改善は、誰の目から見ても韓国にと って有利な展開である。

もちろん、日本と関係改善するメリットは それだけではない。実は朴大統領の就任後の 東アジアの国際情勢は、韓国にとって大変な チャンスであった。この地域の大国である中 国と日本が、いわゆる「尖閣問題」をめぐっ て激しく対立しているからである。両大国の どちらにしても、やはり韓国を味方につけて 相手を牽制しようと考えているはずだ。



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