先頃、トルコがミサイル防衛システムの導入に 向け、中国製の長距離地対空ミサイル「紅旗9 (輸出型FD2000)」を購入するとのニュー スが流れた。北大西洋条約機構(NATO)や米 国が懸念を示す中、そのミサイルに日本製の部品 が使われていることが発覚。さらに、中国海軍の ミサイル駆逐艦「青島」の艦載レーダーに、日本 製アンテナが使用されていることも明らかになっ た。中国の軍事評論家は「国防の隠れた危険」と 指摘。尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐって日本 と対立しながら、日本に依存する中国の実態が浮 き彫りになった。

武器に日本製部品

問題のミサイルを受注したのは、中国企業「中 国精密機械輸出入総公司」(CPMIEC)。イ ランや北朝鮮の核開発問題などに絡み、米政府が 制裁対象としている企業だ。40億ドル前後の争 いと見られていた入札で、34億4000万ドル の最安値を提示。米国や欧州の企業を抑えたこと で、中国国内では「勝利」と位置づけられていた のだが…。

中国共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報 紙、環球時報のウェブサイト「環球網」などが、 “証拠写真”付きで報じたところでは、このミサイ ルに日本の大手メーカー製のリミットスイッチが 使われていた。また、海軍の潜水艦の写真には、 日本の電気メーカーの航行レーダーが写ってい た。

環球網は「中国の国防安全の巨大な隠れた危険 ~電子部品産業は日韓に独占されている」と指 摘。サイトの軍事特約評論員、雷沢氏は「国家の 国防産業は、その国家の全体的な工業、情報化能 力に根ざしている。この20年、中国は重工業や 産業化の領域では著しい進歩を遂げているが、半 導体を主とする大規模集積回路、精密電子設備を 主とする電子部品産業、新型材料を主とする材料 の応用、加工の領域では、日韓や欧米との差は大 きい」と認めた。

禁輸なら国防の危機

雷氏はその上で、「中国の炭素繊維、電子部 品、半導体は長期に渡り、日韓などからの輸入に 依存している。それが禁輸になれば、想像できな い結果を招く。こうした弱点の除去は、中国人の 面前に並べられた重要課題だ」と主張。「国家の 産業と経済発展の角度からだけでなく、国防安全 と国家戦略の局面からも、この問題を解決しなけ ればならない。日韓産業への依存からの脱却は、 すでに目前に迫っている緊急課題だ」と訴えてい る。

中国のインターネット上では、「日韓の宣伝 だ」などと、情報の信憑性を疑う声が挙っていた が、今月中旬、今度は中国海軍のミサイル駆逐艦 「青島」の艦載レーダーに、日本のエレクトロニ クス企業のアンテナが使われていることを示す写 真が出回った。それでも、「軍艦にそんな大きな 企業のロゴマークが貼られているものか?」と半 信半疑のネット利用者もいるが、中国人民解放軍 の装備の中に、日本製の部品が使われているもの が相当数あるとみて、間違いないだろう。

民生品を軍事転用

日本は1967年、共産圏、国連決議による武 器禁輸国、国際紛争当事国への武器輸出を認めな いと表明。76年にはその他の国に対しても「慎 む」とした。2011年、時の野田佳彦(よしひ こ)内閣は、平和貢献のための武器輸出、武器の 国際共同開発・生産を事実上解禁。そして現在の 日本政府は、「武器輸出三原則」に抵触しないよ う、防衛装備品を民生転用して輸出に道を開き、 輸出活性化による経済成長と防衛産業の底上げを 図る方針という。

だが、今回の一件で分かるように、中国は逆に 民間ルートで輸入した部品を軍事転用して武器を 開発してきた。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海 域で示威行動を続ける中国公船に、日本製の部品 が使用されていないとは言い切れない。企業とし てはルールに則って輸出し、利益を上げているの だろうが、中国の昨今の振る舞いを目の当たりに すると、どうも釈然としない。(かわごえ・はじ め 中国総局)



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