
身内の対応憤り
「特定の社だけの取材は受けられない。これから 本会議だから…」
島根県議会が開会した9月12日。議長の五百 川純寿(いおがわ・すみひさ)(64)=自民= は言葉を濁して議長室へ消えた。
同県議会では6月26日に「日本軍『慰安婦』 問題への誠実な対応を求める意見書」を賛成多数 で可決した。竹島(同県隠岐の島町)問題を抱 え、国際問題には敏感であるはずの島根県で、な ぜ自民までも賛成に回ったのか。記者の問いに五 百川は答えようとしなかった。
根拠もなく旧日本軍による慰安婦募集の強制性 を認めた河野洋平官房長官(当時)談話を基にし た意見書は超党派によって提案され、民主、共産 などに加え、自民も1人を除き賛成し可決され た。
《日本政府は1993(平成5)年『河野談 話』によって『慰安婦』への旧日本軍の関与を認 めて、歴史研究、歴史教育によってこの事実を次 世代に引き継ぐと表明しました。(中略)日本政 府がこの問題に誠実に対応することが、国際社会 に対するわが国の責任であり、誠意ある対応とな るものと信じます》
採決の際に退席した自民党県議、小沢秀多(ひ でかず)(63)は、「われわれ自民党はいわれ のない批判に対し敢然と立ち向かい、日本人は強 制連行をやっていないと言わなければならないの に、危機感がなさすぎる」と、身内の対応に憤り を隠せない。
幹部から「公認外し」の“脅し”
当初、小沢は本会議で反対討論をしようとした が、自民会派の幹部から止められた。
「異議を唱えるなら、ペナルティーを科さねば ならない」
小沢は幹部の冷たい言葉を次期県議選で公認し ないという脅しと受け取った。心配した支援者ら から説得を受け、小沢は反対討論を断念した。議 場退席はせめてもの抵抗だった。
議長選バーター説
議会関係者の間では「意見書」議案に自民党が 賛成した理由について「議長選とのバーターだっ たのでは」といった噂がまことしやかにささやか れる。6月議会で五百川が議長に選出された際、 民主会派は賛成票を投じた。自民と歩調を合わせ たのは異例の対応だった。
民主会派の会長、和田章一郎(66)は「そん なひきょうな話はない」と「バーター説」を一蹴 したが、ただ一人反対した無所属の成相安信(な りあい・やすのぶ)(61)は「民主との水面下 の根回しが優先されたに違いない」といぶかる。
成相は議案の本会議提出を決めた総務委員会で こう訴えていた。
「『河野談話』を追認すれば間違った歴史認識 が独り歩きすることに島根県議会が手を貸すこと になる」
懸念する事態はすでに起こっている。
慰安婦像を設置した米カリフォルニア州グレン デール市議会で7月9日、設置推進派の市議はこ う発言した。
「日本でも多くの市議会が慰安婦問題で決議し ている。私たちは正しいことをしているのだ」 (敬称略)
〝慰安婦〟像の設置で、東大阪市がグレンデール 市に再抗議
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