しかし、オバマ大統領は8月31日に突如、「軍事介入について決断した」と述べると同時に「議会の承認を求める考え」を示しました。

軍事行動を共にするとみられていたイギリスが不参加を表明し、ロシアが強硬に軍事介入に反対する中、これまで「化学兵器の使用は許さない」と言い続けたオバマ大統領としては、米国のプレゼンス維持のためにも「軍事介入の決断はせざるを得ない」と考えたものと思われます。

しかし、イギリスと同様、軍事介入を行うためには、本来は議会の承認は必要ありませんが、オバマ大統領は、米国世論の半数が軍事介入に反対する中、「議会の承認による後押し」が必要だと考えたのでしょう。

また、化学兵器使用疑惑について調査した国連調査団の報告書が約2週間後に作成される見通しであり、9月5~6日にG20首脳会合がロシアで開催されることもあり、ロシア説得のための時間稼ぎが必要だと考えたのかもしれません。

ロシアは地中海に展開する艦艇を増強する見通しや、情報収集艦1隻を地中海に派遣した事が明らかになるなど、欧米への圧力を強めており、これは米国などに対して非常に大きな「抑止力」になっているものと思われます。

ロシアはシリアのアサド政権に対して対空ミサイルの輸出が指摘されているように、シリアの防空システムの能力向上はロシアの支援で行われてきており、アサド政権とロシアは友好関係にあるため、簡単にアサド政権転覆を許すとは考えられません。

このオバマ大統領の姿勢に対して、1日付シリア政府系紙アッサウラが「米国の歴史的後退の始まりと、世界の指導的立場からの撤退」を意味すると論評するなど、今回のオバマ大統領の決断が、今後の米国の影響力低下を決定的なものにしてしまうかもしれません。(9/1 産経「『米国の歴史的後退』シリア政府系紙が論評」)

米国内でも、オバマ氏の攻撃先送りの決断に対し、共和党のキング下院議員が「軍最高司令官としての責任放棄だ」と非難。民主党関係者も「大統領がこんなにふらふらしてはならない」と述べるなど、非難が高まっています。(9/2 共同「米、シリア攻撃先送り 土壇場の迷走 重圧感じたオバマ氏」)



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