「定年延長で厚生年金を継続しつつ働くのがベター」のウソ
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定年後も厚生年金に加入しながら働き、保険料を長く払えば将来の年金は得になる。そう思い込んでいる人は多いが、ケースによっては受け取る年金額より支払う保険料の方が勝る逆ザヤが生じてくる。くしくも、国は75歳までの年金加入の検討に入った。

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《厚生年金の加入期間を75歳まで延長》

 国は、現行70歳未満の厚生年金の加入期間を75歳まで延長することを考えている。同時に「在職老齢年金」の廃止・縮小も検討中。誤解を招きやすいネーミングだが、要は65歳未満なら年金と給与の合計が28万円以上だと年金が減額され、65歳以上は47万円以上(今年4月~)で減額される仕組みのことだ。

 その在職老齢年金がなくなれば、減額もなくなるので一見良さそうにも思えるが、国としては国民を長く働かせ、保険料をより一層払わせたい思惑がある。その先にあるのは、多くの人が予想している通り、年金の「70歳支給開始」だ。

すでに3年前から月収8・8万円以上、所定労働時間週20時間以上、正社員501人以上などの企業に勤めるパートタイム労働者にも年金加入が義務付けられているが、今後は下限の8・8万円を6・8万円に引き下げる案まで出ている。

 では、現制度では、60歳の定年後も再雇用などで厚生年金に加入しながら働き続けた場合の損得はどうなるのか?


現在63歳の男性を例に取ってみよう。65歳までの2年間は厚生年金の報酬比例部分を受け取れる世代だ。ちなみに、老齢年金は男性が1961年4月2日以降、女性が1966年4月2日以降生まれから完全に「65歳支給」になるため、すでに65歳以上になっている人と同様、現役世代は65歳以降も働き続けた場合だけ在職老齢年金の対象になる。

 63歳で月給30万円で雇用継続されたとする。平均的な厚生年金の月額は男性が約16・6万円、女性は約10・3万円。このうち男性の報酬比例の平均は10万円ほどになる。つまり、月給30万円の他に10万円の年金があり、合計で40万円の収入になる。

 しかし、在職老齢年金により、給与と年金の合計が28万円を超えているので、超過分の半分が本来もらえる10万円の年金から減額されてしまう。この場合の減額は6万円(表1)で、2年間で計144万円のマイナスだ。



さらに、月収30万円にかかる厚生年金保険料は月2万7450円(18・3%の半分)だから、2年間で約66万円が給与から天引きされる。なんと、210万円も損することになるのだ。

 もっとも、2年間も余分に保険料を支払っても、増える年金額は月に3000円程度。210万円の元を取り返すためには58年もかかり、123歳まで長生きしなくてはいけない。

「どうしても年金を減らされるのが我慢ならないという人は、個人事業主として会社と業務請負契約するといい。年金が減額されるのは、“厚生年金保険に加入しながら”年金を受け取る方です」(特定社会保険労務士・稲毛由佳氏) 

 国の思惑通りにはなりたくないという気骨のある人にも向いている。

 また、58歳以下の現役世代は、現行制度下なら65歳以降は月給と年金の合計で47万円がひとつの目安になる。月給40万円で年金15万円なら、47万円を超えた分の半分の4万円が減額。この場合は年金の繰り下げ受給も考えるべきだが、この間も月3万7515円の保険料は天引きされてしまう。

 支給開始年齢が70歳に引き下げられれば、当然のように75歳、80歳まで収入に応じて減額される可能性が出てくる。

---------------転載おわり

↑、転載させていただきました。
よく読んで考えてみましょう・・・