馬はね 人をね 人を 踏まないんだよ
おかあさん おとうさんは 誰で

どこで産まれて どこで訓練し

どんな経緯でレースに出るか

簡潔ながら詳しく記されている

出馬表

レーシングプログラムとなると

目の前を走る日には

裏表だけ カラーの時もある

過去のレース写真や優勝馬が多いかな?
それは完璧なまでの 写真

真ん中に優勝馬

馬主(うまぬし)さんを筆頭に

左右に関係者が対称に横並びし

馬上には乗り手

右 手のひらを ハッキリとこちらに向け

こちらを見ている

その背後に

夕陽が扇の如く 広がり

どこまでも こちらに

向かってくる

陽の光が 夕刻

色を変え 長く長くのびる様は

およばない ところにある

輝きを思わせた

横の芝生では

この写真が付いた

レーシングプログラムを

敷いて座っている人が 沢山いた
今日は よしたほうがいいって

言ったんだけどね

なんともないって 言われて

おかしかったんだよ

わかるからさ 見てるから

で 乗ったさ

あと100mってところで

ガクッときた

スピードでてるから 

前のめりに飛ばされないように

とっさに 左手で つかんで

ほら ぼく元々 左利きだから

反動で体が横になって

ぐるっと腹袋に入ったんだ

そのまま 気を失ったよ

死んだかって 思われたらしいよ

馬の下敷きだから

内臓、潰れるからね

衝撃でさ

もう 馬は 駄目なんだけどさ

みんな 思ったらしいよ

死んだかって

目醒めたら ベットの上で

腕、吊られてたさ

手首折れて

そのまま くっつくまで

なんも出来ないでしょ

馬乗れないし

体は何っともないんだから

つらかったねぇ

馬  乗れなかったのは
力の強いものが 弱いものを

倒そうとしたら

それは簡単に出来てしまう

潰すより

助けることのほうが 難しい

何事も絶対は ないからね

そう よく言う

信頼

相手を信頼しているから

いえるんだ
馬はね 絶対人を踏まないんだよ












倒されてしまう