今日の記事も、前回の記事からのそのまま続きになります。
*
患者の側から主治医の先生に対して
「カルニチン欠乏症の可能性はないでしょうか? 血液検査をして調べていただけませんか?」
とお願いするなんてあまりにも図々しく、
「面倒くさい患者(の家族)だなぁ・・・」
と思われはしないかしら、とか、何より先生に対して失礼にあたらないかしら・・・、と心配していたのですが、予想外にも先生はあっさりと血液検査をして下さいました。
(*しかも「不勉強で申し訳ありません」とまで仰ったのだとか 申し訳なさ過ぎます)
それが11月の受診の時のことでした。
そして12月下旬の受診の日。
当時の私は卒試1が爆死しましたショックで、低血糖やカルニチンのことを気にかけている余裕はなく、何なら血液検査をしたことすらすっかり忘れてしまっておりました
「あれ カルニチンって何種類もあるの」
混乱してすぐにググりましたところ、ガイドラインにこんな風に書かれていました↓↓
③がちょっとあいまいで分かりにくかったので、本文中を探してみましたところ、
遊離カルニチン濃度が<20μmol/Lの場合は「L-カルニチン欠乏症が発症している」あるいは「いつL-カルニチン欠乏症が発症してもおかしくない状態」と診断する。
20≦遊離カルニチン濃度<36μmol/L(境界領域の状態)あるいはアシルカルニチン/遊離カルニチン比が>0.4の場合は「L-カルニチン欠乏症が発症する可能性が極めて高い」と診断する。
と書かれていました。
これらを踏まえてもう一度娘の結果を見てみますと・・・
・遊離カルニチン : 16.0μmol/L → <20μmol/Lを満たしている
・アシルカルニチン/遊離カルニチン比 : 0.425 → >0.4を満たしている
(アシルカルニチンの値そのものは正常)
完全にカルニチン欠乏症の診断基準値を満たしているようです
しかもこの16.0μmol/Lという値は、「クリティカル」と呼ばれるほどの低下っぷりみたいです。
治療に関する記述でも、
遊離カルニチンが20μmol/L以上36μmol/L未満の"境界領域の状態"では「将来カルニチン欠乏症が発症する可能性が極めて高いので、症状などを総合的に考慮しカルニチンの補充を考慮」
となっていましたが、
20μmol/L未満の"クリティカルな低下例"では「カルニチンの投与を積極的に考慮する」
となっておりました
※註:ただ、上のガイドラインの写真の⑤の青線部分にもありますように、カルニチンのほとんどは筋肉内に貯蔵されているため、血液検査で測定できるのはごく一部に過ぎません。
そのため血中のカルニチン量が異常がないからといって一概に「カルニチン欠乏はない」とは言い切れず、その場合は筋生検で筋肉中のカルニチンを調べたりもするみたいです。
(→たとえばガイドラインp.35の表に、血中のカルニチンは正常なものの、筋中カルニチンが正常の2.3%まで低下しており、カルニチン補充で症状が改善した16歳の経管栄養の女性の例が記載されていました。)
この結果をご覧になって、主治医の先生は、
「てんかんでバルプロ酸(デパケンⓇ)を処方してる患者さんのカルニチン欠乏は見たことあるけど、ADHDでも本当にカルニチンが欠乏するんだね」
(*註:ADHDとカルニチン欠乏が必ずしも関係あるかどうかは不明です)
と驚いておられたようです。
娘はといいますと、この結果を見てもチンプンカンプンだったようで、診察後にLINEで診断基準を伝えましたらこんな反応でした↓
そして。
先生はその日すぐに娘に薬のカルニチンを処方して下さいました。
その際、先生から
「多いよ。大きいよ。ビックリしないで下さいね」
と何度も言われたらしいのですが、いざ薬局で薬を受け取った時に娘が目玉が飛び出るほどビックリしたのは、別のことでした
まさにその瞬間のやり取りがコレです↓↓
いつもコンサータとモディオダール28日分で1万円ちょいの支払いのはずですが、この日はナントその倍
さすがに驚きました・・・
私に実際より高い金額を申告して差額を無駄遣いしていた過去が何度もあるので、疑われないよう証拠を示すためでしょうか。
娘が自分から領収書の写真まで送ってきました。
↓
さ、ささすがにこの金額はイタイです・・・
ですが治療のためですので・・・仕方がありません
そしてこの金額に比べましたら薬の大きさや量なんておそらく屁でもないことでしょう・・・
こうして娘は12月の下旬から、さらに
エルカルチン
という薬も服用することになったのでした。
*ちなみにその後、このエルカルチンには類似の成分で約1/3の値段の「レボカルニチン塩化物」という名前の薬があることが分かり(*ジェネリックというわけではなさそうです)、1月の診察では無事そちらの方を処方していただくことができました