メメント・モリ。

最近、散歩の途中ではっと思う時が増えてきた。

今が盛りの、美しい景色。うつくしいいきもの。あなたたちのせかい。

 

 

そして、名も知らぬ花。今が盛りね。でも、これほどまでに生き切っては死が間近い!

何て花は思わない。今が、すべてだもの。

なによりかにより、いま、あなたたちは美しい。

 

 

でも、でも、思いだしてしまう、けしき。

あたまからはなれない、いちばんうつくしくいとしいけしき。

4月17日、骨髄性白血病で、死の前日のすずちゃん。

どうしてだろう。

2月からろくに食べなくなって二か月、弱り続けるあなたは、死の前日、

隠れていたベッドの下から出てきて、私たちからそらしていた目を、まっすぐこっちに向けた。

苦しみも寂しさも私たちの涙も、もう超越したまっすぐな視線。

 

「ごめんね。

 もうすぐ、さよならなの。

 わたしを、見ていて。さいごまで。

 いっしょにいてくれて、ありがとう」

 

その目もたたずまいも、本当に、美しかった。

ながいことこころのこえで、話しかけてくれた。

 

 

私の知る生き物たちは、どれも、死におののいたり回避しようとしたり

宿命の闇を悟って取り乱したりしない。

 

いま、わたしはここにいいるよ。

 

それがあなたたちのすべてだった。あの白い花のように。

 

わたしは、人間というみっともない生き物は、その時どうしていられるだろう、

納得のいく最期だったと静かに目を閉じられるだろうか。

 

書くべきでなかったかもしれない。でも、

巷にあふれる「役立たずの老人に安楽死を!家族に安らぎを!お荷物は社会から捨てろ!」という

SNSでのシュプレヒコールに我慢ならなくて、

きっちりタブーなエッセイを書いてしまった。

いらいらいらいらしてたので。

 

いつか削除するかもしれません。

 

https://kakuyomu.jp/works/16818792436737780192/episodes/16818792436740615656