世界のあちこちで今大雨、洪水が続いていますが
(地球最近キレ過ぎ。ソドムとゴモラの再現も近いかも)
私がどうしても考えてしまうのは、ええ、基本人でなしなのでペットちゃんの方です。
家に置いて行かれた彼らは見捨てられるのか、消防隊や救援隊に救ってもらえるのか。
上にあげたのは先日ブラジルであった大洪水の後のペット救出の動画ですが、
ちゃんと、ちゃんと、助けてもらっているじゃないですか!
ブラジルって何となく治安悪そうだしマフィアがでかい顔してそうだし何となく文化的に後進国に入りそう、
とか思っててごめんなさい。
犬たちも(鶏も)逃げられる場所を探してひたすらお腹すかせて耐えていたんでしょうね。そこへボートで、準備万端で救出に向かう人たち。
ありがとうありがとう!みんなみんなよかったね!
人が地球上でイデオロギーによるどんな残酷な戦いを繰り広げていても
こういう動画ひとつで、「人には苦しんでいる命を助けようとする良心と本能がある。たとえそれが鶏であろうと」
と、昨日ファミチキを食べた身で思うのです。
人に簡単に絶望してはいけない。人には善なる心がちゃんと生きている!
そう信じたい。信じさせてくれてありがとう。
ところで、おとといの夜中のある出来事を書きます。
私が丑三つ時に夜の散歩をする趣味があるのは何度か書いたかな。
とにかく、月がきれいで花の匂いがして誰もいない道が好きなの。
杖を突いて歩く練習をするにも、(最近右足をくじきました)目に刺激が入らず(通行人も刺激のうち)誰も通らない道は最適なので。
その前日は確か一日酷い風が吹いていたと思う。
鳥の巣なんて簡単に落っこちるだろうなと、公園近くに住む私は、強風で頭を振り回す木々を見ていて思ったんです。
巣が吹き飛ばされるのを見るしかない親鳥はどんなに悲しかろう。
で、夜中の零時を過ぎて家を出たら、向かいのアパートの前に何か黒い塊が落ちてるのが目にはいりました。
おや?かすかに何かの鳴き声もする。
何々これはなに、と近づいてみたら、
なんと、鳥の巣なんです!
しかも、中身入り。
暗がりの中、持ち上げてそーっと見たら、生まれて間もない雛三羽がごそごそしてる。
皆目を閉じて震えながら、小さな声でピーピーいいつつ、もごもご動いています。
それにしてもよくも、巣から全員投げ出されず軟着陸したものだわ!
とりあえず、巣を掌に抱えて、家に持ち帰りました。
その夜半から激しい雨が降ると天気予報で言っていたので。
案の定、家に入ってしばらくすると凄い雨音が聞こえてきました。
私が見つけなかったら、雨に叩かれてこの子たちは絶命していたでしょう。
さて賢明な皆さんは知っていますよね。
道に落ちている野鳥を見つけたら?
「拾ってはいけません、飼ってもいけません。そういう行為は禁止されています。親鳥に鳴き声で見つけてもらえるように、近くの茂みの高いところにおいてあげましょう」
それは知ってる。でも外は大雨で、巣を置くべき場所なんて雨が当たらない場所には見当たらないんです。親鳥の声も聞こえない。ママ鳥探してウロウロしたけど、周囲にはいなかった。
昔、二階の窓から小雀が迷い込んできたとき、部屋で米粒をあげていたら、ママ雀が飛んできて窓に体当たりを繰り返すので外に出してあげたら一緒に飛んで行ったことがあります。
でも今巣の中にいるのはどう見ても、生まれて間もない、生きてるのが不思議なぐらい弱った雛鳥。
今の季節でなかったら、部屋においても、特別に保温しない限り体温が下がって死んでいたでしょう。
私はケーキの紙箱にハンカチを敷き、そこに巣を置いて、空き部屋になっている息子の部屋に持っていき、まずは上からあったかい息を何度もゆっくり吐きかけました。
はーっ。はーっ。
するとプルプルしていた雛たちはパチッと目を開け、こちらを見上げるようになりました。
あげる食べ物もないし多分明日の朝まで生きてはいまいけど、できるだけのことをしよう。
私はゼリー状の猫の餌に、卵の黄身をふやふやにふやかしたものを混ぜ、(おい共食いやんけ。でもネットで、雛にあげる餌として書いてあったんだよ)それを小鳥の体温程度にあっためて、くちばしに近づけてみました。
でも、くちばしは開けてくれない。巣の中の燕の子みたいに大口開けてピーピーやってくれない。
何も食べられない状態でこれだけ弱ってれば、明日の朝はもう、死んでいるだろう。
そう思い、その夜は(午前三時ぐらいまで窓を開けて親鳥に小鳥たちのかすかな声を聞かせてましたが、来なかった)眠ってしまいました。
翌朝。
そうっと息子の部屋に入ったら、箱の中はシーン。
やはりだめだったか。お庭に埋めてお墓を作ってあげよう。
と思い、紙箱を開けたら。
何と三羽は大口を開けて、ピーピーピーピー元気に鳴きはじめたではないですか!
ママごはん!ママお腹すいた!ママ、ママ!
何かあげたい。でも下手なものをあげると死んでしまうかもしれない。三鷹駅前に小鳥の餌を打ってる店がある、今すぐいって買ってきて練り餌をつくろうか。
いやいやこれ、法律で禁止されてるぞ。やっちゃいけないことだぞ。野生の鳥を飼うのは禁止。じゃあどうすればいいんだ……
とあるブログで、「メジロのひなが落ちていたので拾って育てて巣立たせました」というのを読んだんだけど、そのかたは
「地元の環境保護局の鳥獣保護課に連絡を入れ、元いた場所に戻したほうが良いのか、保護したほうがよいのかなど伺い、なんだかんだで、そのまま野生に帰るまでのお手伝いをすることとしました。
その時対応してくれた職員さんは、アドバイスと一緒に、雛を保護しようという心は自然なものだと、さりげなくフォローしてくださり、嬉しかったです」だそうです。
でも読んでみたら、様々な小動物を小さなころから育ててきたプロみたいで、手作りの餌の内容が凄い。こりゃまあねできない。
思い余った私は、ダメもとで、小鳥も見てくれるという獣医をネットで探し始めました。探しつつも、無駄だ、というのはわかっていました。
野鳥を拾っていけないと何よりわかっているのは動物病院の先生。ペットショップから買ったインコはまだしも、種類もわからない野鳥の子供なんて……
そこで、うちの猫たちがいつも世話になってる近所の動物病院を思い出したのです。
あそこはたしか、犬猫、エキゾチックアニマル、鳥、爬虫類まで扱ってたっけ。
一か八かで電話してみよう。駄目なら駄目でほかの手を考えよう。
で、電話してみたらですね。
いつものバリトンの声の先生が出て、
「ははあ、巣ごと雛が落ちてたんですね。三羽? いいですよ、すぐ連れてきてください」
なんということだ、受け入れてくれた!
わたしは、持病の眩暈が止まらない頭で、そして治りかけのくじいた右足を引きずって、必死で動物病院目指して箱を抱いて歩きました。
するとすぐ先生が出てきて、
「どれどれ見せて。ああ大きな口開けてるね。うん、これは多分、メジロだな」
「え、メジロちゃんなんですか!」
「たぶんね。わかりました、大丈夫。こちらで預かりましょう」
「ってことは、入院ってことですか? いつ引き取りにくれば……」
「いや、こちらで放鳥まで面倒見るから、あなたはもうこないでいいですよ」
なんてことだ。神降臨!
でも……
「ほんとですか!でもそれ、あの、大丈夫なんですか?確かなにかの法律で、野鳥は飼ってはいけないと…… 先生にご迷惑がかかるのでは……」
するとイケメン先生は笑って、
「そこは大丈夫。ぼくはね、その問題に関して、都の環境庁とかと充分時間をかけてやり合ってきたんですよ。結果、OK取った病院なんです。だから平気」
うわあ、よかったよかった。ぴーぴーちゃんたち、助かるよ!
「であの、診察費用は……」
「いりませんから。じゃ、任せてください。おーい、小鳥用の保温ケース!」
奥に向かって叫んでる。
あの子たち生きられるんだ。イケメン先生、ありがとう!あなたは神です!
あなたの頭上にキラキラと幸運の星が舞い降りて、宝くじとか億単位で当たりますように。
それにしても。
きのうの雨に打たれていれば、助からなかった。
この病院に巡り合わなければ、私は自力で餌もとれないこの子たちを、近所の空き地の茂みに放置したかもしれない。
とにかく、あの子たちは、これから安心して育っていける。今日も明日も生きている!
それだけのことで幸せになって気分はほこほこなのです。
だからさ、ファミチキをおやつに食べといてほこほこするなって。
人間は矛盾に満ちた生き物なんです。どうもすみません。