よく、野良ネコのTNRをしては里親さんを探す活動をしている親切な(主に猫系の)保護団体さんなんかが、いいますよね。

 

「可哀そうな命を、増やさないために」

 

あれ聞くと気持ちがもやっとするんだな。

 

可哀相な命?

幸せな命?

どこがライン?

 

家の中で大事に飼われる猫以外は、日本においては猫という動物は野にあっては「不幸ないのち」なんだね。

それは、日本が、日本だから。そこはもう、そういうものとして飲み込めと言ってる。

たとえば、イスタンブールの犬猫。

街が住処で、アパートも作ってもらい、ペットボトル回収サービス入れにボトルを入れるとご褒美にキャットフードが出てきて、猫が寄り集まってくる。

狂犬病に予防注射を受けた犬たちは、通りでへそ天。餌ももらえる。

誰も彼らを「可哀そうな命」とは言わない。それは人の扱いが非常に優しく寛大だから。

 

ここで生まれるのは「可哀そうな命?」そうは言われてない。

要するに、国の違いがあるだけ。

 

トルコではTNRは「彼らを絶滅させない程度に適当に」しているそう。

スペインやイタリアやイギリスでも、ふつうに通りに綺麗な猫がしゃなりしゃなりと歩いてたし、帰るおうちは決まっていた。

ロンドンには一万匹の狐が自由に暮らしていて、たまに人間が餌をやってたり人の荷物を引っ張り去ろうとしたり。

エジプトガン、巨大な鹿の群れ、孔雀やリスが、とまっているホテルの前の草原を通り抜けていく。

彼らだって糞はする。好きなところで。

通行人とだって接近遭遇はする。車道も近くにある。彼らは可哀そうな命?

 

アフリカのサバンナでは、肉食動物と草食動物が生きるための戦いを繰り広げてる。

西表島のイリオモテヤマネコは、固有種で保護種でありながら、

森の中で生きることを許され、家飼い禁止。猫同士のけんかでけがをし、病気になり、餌が少ないと寿命を縮め、死因の最多は交通事故。

ヤマネコが交通事故死しないように、トンネル道は作ってあるけれども。

西表で乗ったタクシーの運ちゃんは言っていた。

 

「この島でイリオモテヤマネコはねたら大変よ。すぐ所定の電話番号に電話して身柄を明らかにしなきゃいけない。島のWEBニュースでもすぐに、どの道路でどのタクシーがはねたって即報道される。身柄がばれるの簡単よ。いったんやったら、もうこの仕事できないよ」

 

そんな安全無事にしてあげたいなら、自治体が中心になって、家の中か動物園に保護するべきじゃない?

自由はないけど虐待者にもあわないし、餌にも不自由しないから。

でも国は、「可哀そうな命」をそのままにしている。狭い地域で今生きてるのは、100匹ぐらい。それが「自然な姿だから」って。

 

9500年前から、リビアヤマネコからパートナー動物として進化させられ続けてきたイエネコは、「自然の中に自然な姿で生きる」ことは許されないのだろうか。

 

いや、UAEのアルアインの砂漠の中で、原種に近い猫たちが「勝手にオアシスに群れ集っている」という日本人とアラブ人の夫婦の豪邸の写真集があったな。

裏庭の広さ、東京ドーム二個分。庭には猫も犬もガゼルもラクダもハリネズミもいるので来客は絶えない。出入りしているネコはおよそ60匹。大邸宅なので、飼育崩壊はしてないし、ムスリムではネコは大切にされるし、彼らは出入り自由だ。

 

さて日本は東京、ここはなかなか動物との共存が難しい国。

高い空を飛んでいるトンビを見たら、あるいは飼われているのか逃げ出して群れを作っているワカケホンセイインコ(外来種)やシジュウカラやメジロを見たら、「不幸な命を増やさないために檻に入れなきゃ」と思う人が多いんだろうか?

 

例えばパートナーアニマルでない動物と比べてみよう。

それでも人間と隣り合って住む動物、たぬきハクビシンアナグママングース鹿にアライグマ猿に鼠のたぐいも排泄はするし外来種もいるけど、

 

要は「その動物の幸せのために命を増やしちゃダメ」なのではなく

「都会という環境で人に迷惑をかける動物にはいてもらっては困る、しかも過剰に可愛がってんじゃねえ、彼らは人工栽培種なので戻れる自然はない、そこにいるだけで目障りだ」ということでしょ。

糞害なら、およそ都会だろうが田舎だろうが生きてる哺乳類はみな糞をしてるので同じじゃないですか。

誰も可愛がらず、野良で短命で死ぬぶんには、サバンナの動物もロンドンの狐もインドのやせ犬も同じ。彼らは可哀そうな命だから生まれてこない方がよかった?

 

こういうと出てくる、例えばオーストラリアやほかの国ではや固有種を狩って食べる

イエネコの猫の類は害獣とみなされ駆除されているという話。

ムスリムの国では虫も小動物も食べないし害も与えないのか、だから駆除されないのか?

というか人間が、それを「自然のバランスを崩すとはけしからん」とおもうかどうかであって

自然のバランスを人間の工夫で守るか否か以前に

インドのように、(これはガンジーが提唱者)すべての動物はそこにあってあるがままに生きる権利を有するので野良犬野良猫の殺処分はしない、という「宗教的」な価値観もある。

要するに、宗教も違えば法も価値観も生命感も動物の数も違う国ごとに、ルールはある。

わたしが抵抗を感じるのは「可哀そうな命を増やさないために」という日本のスローガンの「欺瞞」なの。

じゃあ、100匹足らずなのに毎日車に轢かれる保護種のイリオモテヤマネコを何とかしてあげてよ。可哀相な命なのに国は増やそうとしてるよ?

 

 

パートナーアニマルの中で、唯一人間が「この動物は幸せか不幸せか」を判断してくださる動物、猫。

固有種にしろそうでないにしろ(ちなみにイリオモテヤマネコはベンガルネコが原種なので厳格には外来種です)たまには、頭上のカラスやワカケホンセイインコの「幸せ」も考えてください。

ウイルス入りの糞はぶちまけるし、実はかごに入れてほしくてほしくてたまらない子もいるかもしれないでしょ。

可哀相な日本の野生動物や鳥類を幸せにしようよ。

どうやってだかよくわからないけど。動物園で保護が一番か?

 

でも人間は実は知ってる。

この世界で一番「可哀そうな命」なのは、実は人間。

彼らが地上でしていることを見てみて。同胞をより多く殺すために作り続けている兵器の数を見てみて。常に破壊され続ける街々を見てみて。

そして今、日本や韓国は先進国の中で少数化のスピードはトップレベル。もはや絶滅種と言っていい。このまま少数化が進めば500年もすれば日本人なんて13万人しかいなくなるんだから。

陰謀論者も地震兵器も気象兵器もいらない。

可哀相な命を増やすな。増えてはいけない。増えようとはしてはいけない。

まずアジアから。人口削減、あるいは絶滅計画、天はもう始めてるんですよ。