19日から一泊で、結婚35周年の記念日に都内のラグジュアリーホテルに泊まりました。
これは年に一回ぐらい行うイベントで、夫と二人、異次元の上品さを味わおうと着飾って出かけます。お食事も予約して。
でもそこで、毎度どうしても引っかかってしまうことがあります。
記念日はホテルのクラブフロアを利用することにしているんですが、当然アフタヌーンティータイムやカクテルティータイムがありますよね。
当然、クラブラウンジにはそれなりの服装で出かけているつもりです。
でも辺りを見回すと……
Tシャツに短パン。どういう訳か室内用スリッパをはいている。どう見ても普段着以下。
一泊素泊まり10万円をくだらないグレードのホテルで、クラブラウンジでよくこういうお客様を見かけるんです。
うちは大金持ちじゃないからそんな環境で下界を見下ろしながらフリ―でカクテルや充実したおつまみを頂けるのはとても特別な時間なんです。
でも新幹線の車内販売で「ちょっとねーちゃん」的な態度でいるおっさんレベルも多い訳です。そこががっかり。
一時、世界中の一流ホテルを泊まり歩いた方のエッセイをよく読んでいました。
その方が嘆くに、「アジア各国では、どんなにハードが素晴らしいホテルを作っても、お客が台無しにする。だからアジアに一流ホテルは真の意味で育たない。」ということでした。
シンガポールのラッフルズでも、香港のペニンシュラでも、お金持ちの中国人客は短パンにビーサンでコンビニ袋を両手にぶら下げてエレベーターに乗ってくる。しかも部屋の備品をどれもこれも頂戴する。これらの品行がある限り、ホテルがどう頑張っても一流ホテルの品格は持ちえないと。
今回カクテルタイムに居合わせたのは、みな日本人だと思うんですけど、たいてい普段着かそれ以下の格好でTシャツにサンダルの人もいました。空間の高級感とサービスはさておいて。
名前を出します。シャングリラ東京は、私たち夫婦が今まで止まった中でも最高級の食事とサービスを提供してくれるお気に入りのホテルでした。
でも、泊まる側が、あまりにホテルのグレードをリスペクトしていない。
まさに「泊り客が……」のあのエッセイをほうふつとさせる風景がそこにはありました。
欧米からくるお客様はそれなりに正装で、びっとしてます。
しかし日本人の、「金払ったんだから好きにさせろ」なあの服装と態度は……
わたしはお金持ちではありませんが、たまの特別な時に利用させていただくホテルには、その格式に敬意を払い、できるだけ余所行きの服を選び、ホテルの格式に合わせようとはしてます。
ごひいきのホテルへのそれがリスペクトでもあります。
決して、ホテルを、ホテルラウンジを「金払ったんだからいいだろ」という
風呂上がりのおっちゃんのたまり場にしたり、おこちゃま走り放題のファミレスにしてほしくありません。
これは、日本人の「ホテル文化」へのマナー意識の表れだと思っています。
どれだけ外装を豪勢にしようと、集まるお客がホテルの格式を意識しないと、本物のホテルは育ちません。
ホテルの品は、ホテルとお客とで作るもの。
カクテルタイムのサービスや話し掛けは、素晴らしいものでした。
朝のインルームダイニングも。
だから、いまここ、ここは特別な場、としてホテルにも敬意を払い、それなりの身なりをするマナーを、利用するお客様たちにも心得てほしいと思うのです。
そこに求めるのは、「ただの日常の延長」じゃないから。
ってどうしても思っちゃうのは、かえって私が日常ビンボー臭いからですかね。