『蒼天を衝け』ついにはじまりましたね、
いやあ、捕縛されたこ汚い玉木君の様子が「薄汚れてなお美しいとはなんと尊い」と奥様方に激賞されて嬉しい限りですわ。
汚れて不自由な環境に置かれてこそ色気を増し美しき男。それが本物のオトコ。世間様にも広く広くわかっていただかなければ。
さて、本題は随分随分ずいぶん昔の話になります。そう、もう30年以上も昔の話。
わたしは当時の編集さんと、STINGの「ブルー・タートルの夢」というドキュメンタリー映画を見に出かけたの。
街の小さなシネマシアターだった。
でも、STINGという大人の男の、懐の広い規模のでっかい夢と現実をないまぜにした祈りのような歌に惚れさせてもらうには十分だった。
なかでも、わたしの心臓をわしづかみにしたのが「RUSSIANS」という歌。
アメリカとロシアの冷戦時代の最後にあたる時期だと思うんだけど、アメリカはいつ飛んでくるかわからないソ連からの核兵器に怯えていた。
そしてSTINGはその当時もうパパだった。
この曲はその子供が生まれる時、立会出産のシーンと重ねて流されるのです。
「イデオロギーに関わらず
僕たちは人として同じ生を受ける
僕が君に言うことを信じてくれ
僕は願う ロシアの人々も心から子どもたちを愛していると」
憎しみでも攻撃でもない、これは一つの祈りです。どんな国の首長にも愛する家族はいる。
その家族や子供たちを愛するように、他の国々の子どもをも愛してくれと。
わたしは出産のシーンに重ねられて流されたこの曲以上に重く荘厳な神聖な曲を知りません。そしてスティングの静かな祈りに心を揺さぶられました。
この「揺さぶり」はこれからの人生でも、きっと続くでしょう。
あなたがあなたの子を愛するなら、誰かが愛しているそれぞれの宝物のような命をも愛してくれと。
かなわぬ砂糖菓子のようなその願いは、今もわたしの心に響き続けているのです。
決してその願いはかなわぬだろう。だがその祈りをかかさないあなたのような人がいる限りこの世に望みはあると思いたい。
いま改めて聞きたい、名曲です。