土曜の夜と日曜の朝(kato takuro) -2ページ目

猫④

金髪カップルは顔を見合わせるやいなや、きれいだ、やら、太陽のようだ、やら、愛の言葉を並べ始めたので、僕はまたベッドから降り、玄関まですたすた歩いていった。
体が軽いからか、柔らかいからか、器用に散らかったものを避けながら歩けた。今となってはサイズの違和感にびっくりしてしまう靴たちも一超えし、ドアノブを見上げた。

(んー、無理だな。これは)

猫③

湿った手のひらをじいっと見ていると、頭上から声が聞こえてきた。
「君はどうにもうまく変身したものだね。昨晩の君ったら、まるで奇人変人だったよ」
見上げた先には金髪カップルの男がこちらを見下ろしていた。
「君はどうやらうなされていたみたいだよ。夢の中だろう。ここのところ毎日そんな調子さ。ところが今夜は違った。右に左に向きを変えてるうちにどんどん小さくなっていくのさ。私は丸目を丸くして見入ってしまったよ。気がついた時にはひょこっと布団から猫の頭が出てるものだから。ついつい彼女と顔を見合わせたよ」
すると彼女は柔らかな声で相槌を打った。「そうね、可愛らしくて素敵よ。なかなか清潔感のある毛並みですし」
二人はまた顔を見合わせた。

猫②

ぼくはまたゴトッと床に不時着し、ベッドの上へとよじ登った。動けば動くほど、床やシーツが傷つき、ビリビリと破れていった。お腹をぺたりと布団にくっつけ、まるで本物の猫さながらに、横になってみせた。
(そういえば、動物や虫たちは呼吸する場所が人間よりも低い場所にあるから、二酸化炭素を多く吸って早死にするって聞いたことがあるな)
うかつに外の世界へ飛び出してみようものなら、あらゆる外敵に怯える可能性がある。はて、どうするべきか。
枕元に置かれたぬいぐるみの金髪カップルが大きな瞳で宙を見ていた。アメリカのブランドらしく、彼女が数日前にぼくに与えたものだった。そうだ、彼女に相談してみるか。いや、その前にどうやって彼女の元に。
ぼくは手のひらをペロリと舐めた。