✧これは有諏川ヨーコによる、妄想図書館の旅の記録である

📔有諏川ヨーコの旅録:第17話
空石の抱く思い
「え………?」自分の目の前に白い玉が浮かんでるのを見てヨーコは固まった
思わず、手を差し伸べたヨーコに
慌ててチャッピーは
「あ…今手を出し………」
チャッピーの声を最後まで聞く前に、ヨーコの手は白い玉に触れた。
白い光が一瞬視界を包んだ。
その眩しさに思わず目を閉じる
そして足元がふっと軽くなった。
おそるおそる目を開くとーー
目の前には、球環があった
でもそこは地底では無かった…
地上の…山の麓のとても自然豊かな場所だ
そしてそこには地底人、翼人の他には…鱗のある肌の人々が居た。
見たことのない種族だ。
「あぁ、海人も居るね」とチャッピー。
言い表し難いけど、人間の肌の上に、虹色がかった透明な鱗をまとった感じの人たちである。
全身が鱗に覆われているかは、ユニフォームを着ているのでわからない。
どうやら3つの種族は、それぞれ同族でチームを作って、コンポロンとはまた別の競技をしているようだった
とても大きな球環の中には、棚のようなものや、取っ掛かりになるようなものが、色々浮かんでいた。
選手達は壁に3つある、ゴールポケットのようなものにボールを入れているようだ
へぇ…これは立体的なボールのゲームなんだね…それと…ユニフォームと同じ色のポケットを守っている。
それにしても…
視線がとても忙しい…
ボールを持ってる選手は、2つのチームからの妨害を受けるが、逃げ道は上下左右にあり、味方の選手もパスを待っている…
そして、障害物であり、上や下へ行く取っ掛かりである物体を上手く使い、パスをつなげたり、奪ったり…
こんなに全身を使う競技をよくやってるね…
ヨーコはだんだん目が回ってきた。
「チャッピー…ちょっと目が回ってきたよ」
「大丈夫?でも彼らにはこれで普通なんだよね」
ところで…
「ねぇ、私達は何を見せられているの?」
「これは、過ぎ去りし思い出」
「何の?」
「この空石は昔、この競技のボールの中に仕込まれていたんだろうね」
しばらくの間、チャッピーは静かに球環を見つめた。
「…もう見ることの出来ない景色だけどね…」