今日はキュキュロン村の続きのつもりでしたが、急遽アメリカの話ですみません。タイミングが大事な記事なので今日だけこれです。明日からまた南仏記続きます。

 

昨日の夕方アメリカの友人にコロナのアップデートを聞いていたら「今はそれどころじゃない。米軍アフガニスタン撤退のバイデンの失態の話で大騒ぎでそれ一色。」との事。その数時間後にバイデンがやっとそれに関してスピーチすると言うので、時差があって私は寝る寸前だったけど起きて生放送見てました。

 

やっとと言うのは、事態がものすごく緊迫し始めて1週間もバイデンが何も言わなかったので、メディアが「何故この件について彼は一言も国民に説明しないのか」と騒いでいたくらいの事だからです。あれ程バイデンをかばってきたCNNすら彼を叩いていた事です。見てみたら他にも主要メディアではバイデン批判一色。コロナなんて完全に忘れ去られてましたあせる

 

例えばこちらは1975年に長期に難航するベトナム戦争で結局アメリカは負けて、サイゴンの米大使館の屋上から、赴任中のアメリカ政府職員達がアメリカ軍のヘリで命からがら逃げてる写真。最後にはアメリカは尻尾を巻いて逃げるしかなかったと言う、これはアメリカの歴史の中でとても屈辱的な出来事。

 

で、今回も同様に在アフガニスタン米職員達は、軍のヘリで命からがらアフガニスタンから逃げた訳です。このアフガニスタンの大使館の屋上に到着する米軍のヘリの写真が「バイデンのサイゴン・モーメント」と呼ばれ、

 

この2枚の写真や、ヘリが到着するビデオがどこのチャンネルでも繰り返し流され、これを見た世界はアメリカをどう見るかとバイデンを批判。歴史的汚点だと。。

 

また、先月アメリカ軍完全撤退を危惧する質問に対してバイデンが「アフガン軍はタリバンより遥かに人数が多く、アメリカも軍備を十分に供給してるから大丈夫。タリバンが国を征服などあり得ない」と返答した公式コメントも何度も流して、批判。

 

で、昨日のバイデンのスピーチ(こちら)を見てポイントを要約すると以下です。もっとマシな事言えるかと期待してたのに、その内容にびっくりでした。

 

1、そもそもはトランプの政策のせい
2、脆弱なアフガン(政府と軍)のせい
3、5年前でも10年前でも誰がやったって、この結果になる運命だった
4、失敗はしてない。自分の判断は強固に間違いなし
5、バイデン政権の中核は「人権」であり、決して見捨てない。今後はアメリカ本土からの支援するから大丈夫
 
1について、アフガンからの撤退はバイデンの10年以上の悲願で公言してきたのに「そもそもはトランプの政策のせい」って、凄い言い訳だなと思いました。ポーン 元々大統領選でトランプ批判だけの波に乗って当選した人なので、今回もトランプのせいにすれば主要メディアが後押ししてくれると思ったのでしょう。どんだけ甘いのか。。
 
4について、明らかにバイデンのやり方が失敗したのによく言うよという批判がCNNですら出てました。私も戦争反対で軍撤退自体は賛成ですが、余りにも考えが甘く、やり方も素人過ぎで、無責任すぎと思います。
 
5について、バイデンのアメリカ軍撤退理由として、アルカイダ征伐がこの戦争の目的で、その目標は10年以上前に達成されてる。タリバンの女性や子供に対する非道を正すのが目的ではないと長年訴え続け、殺されると分かっているのにアフガニスタン大使館職員やアメリカ軍と共に仕事をしてきたアフガニスタン人の政府職員を完全に置き去り。自分達も助けて欲しいと脱出するアメリカの軍用機にしがみ付いたアフガニスタン市民を、しがみついたまま離陸し、7人も亡くなったのを見た後に、
バイデン政権の中核は「人権」と言いきる。ポーン 驚きすぎました。
 
多くのアメリカ人もそう思ったでしょう。ニュースキャスターが呆れて物も言えないという表情でそれを指摘する人も居ました。また、アフガニスタンに長年駐留してすら失敗した事なのに、今後アメリカ本土のみから支援するだけで大丈夫の意味が分からないとも指摘されてました。
 
因みにバイデンは、休暇先からこの会見だけしに出てきて、20分の会見後すぐ避暑に戻ったそうです。笑い泣きスピーチの内容も人に書かせて自分は読んだだけだし。ビデオの最後を見ると分かりますが、記者達の質問は一切受けず、プロンプターに書いてあるこのスピーチを読み終えると、一目散にその場を去りました。
 
また、1ヶ月前までバイデンと最後まで話して撤退の決断を助けたと吹聴してたカマラ副大統領はどこにいるのかすら不明、バイデン政権の報道官も休暇中でメキシコの避暑地にずっといるままです。^^;
 
でも、国内で非難轟々だったのは昨日までで、今日はほぼ戻ってます。あんまり叩くとバイデン政権が危うくなってトランプがまた台頭してくるのが嫌なんでしょう。
 
バイデンが米軍撤退を8月末までにと急いだのは、来年の中間選挙の準備がこの9月から活発化するからだそうで、コロナの感染再拡大、移民問題解決の失敗、インフレの進行など国内問題で有権者に訴える材料に乏しい中、20年に及んだアフガニスタン戦争を終結させ「あなたの家族が帰ってきますハート」と有権者へのアピールを狙ったようだとこちらの記事には出てました。
 
通常、軍撤退なんて大事な事は、各国民の帰還や今後の難民受け入れについても含め、欧州などの連合国と綿密に計画を立て慎重に遂行していく事なのに、今回はバイデンの都合での一方的で唐突な遂行命令だったので、実は欧州のトップ達はとても怒ってるのだそうです。
 
アメリカ人だけ優先的にさっさと帰国し、欧州人他が現地で急に露頭に迷ってるからです。今後は全てタリバンの許可を得ないと帰国など無理なので、何人帰国できるかは分かりません。おそらく結構な数の人質を取り、各国との交渉の材料にするでしょう。ジミー・カーター時代のIran Hostage Crisis(アメリカ在イラン大使館人質事件)の大規模版再来になるだろうとも言われていて、こんな状態に落としいれてくれて、バイデンは全く外交手腕がないとも非難されています。それでもバイデンと政権チームは夏期休暇中で、お構いなしのようですが。
 
こんな事なら日本も対中防衛はアメリカは当てにならないとも言えるでしょう。私は、バイデンが懐疑的な声が上がる中、自分の友人というだけの理由でアジアでの経験が皆無の人を軍のトップにゴリ押しし、対中も絶対万全と言った時から危ういとは思ってますが。。
 
可哀想なのは残された外国人とアフガンの市民。ホワイトハウス前では、在米アフガニスタン人が「裏切り者のバイデン」と言ってデモがありました。現地では少女や若い女性は見つかると片っ端から戦闘員の妻(と言う名の奴隷)にされるので、逃げ惑う女性の手記も見ました。
 
また、命からがら脱出できたアメリカ政府の職員は、自分達の通訳として一緒に働いてきたアフガニスタン政府職員から、これからここで死ぬだけだとsmsが来たと泣きそうに話していました。
 
こんな無責任で薄っぺらなバイデンチームの、己の利権の為だけの犠牲になる各国のアフガン滞在者とアフガン市民が可哀想すぎます。