残った罪悪感② | 美しさの種をまこう 

美しさの種をまこう 

心に蓋をしたら、楽になれると思っていた。楽になりたいと望んでだら目の前が暗くなった。その暗がりから逃げて逃げてここまできたけど、つきまとう闇。蓋をあけることで自分に還ることにします。


学校に行けば、あいつがいるんだろうな


バイトに行けば、元彼がいる


友人に会えば、あいつと引き合わせた友人がいる


どこにも行きたくなかった。


せっかく、ストーカーに解放されたけど


ちっとも何も変わらない。


家にこもった。


何日か連絡をとらないでいたら、彼が家にやってきた。


どうにも出来なかったら、ドアを叩かれ心配された。


いろいろ、食べ物を運んできた。


でも、会いたくなかったんだ。


ドアを叩かれると、あいつとの夜の時間がフラッシュバックする。


心配してくれて叩いてくれているはずのドアの音


怖い気持ちが襲ってきた。


もう、やめて。来ないで。構わないで。


彼にそんな一方的な別れを告げていた。


もう、いい。もう、いいんだって思っていた。


とにかく、誰にも会いたくなかった。



学校に戻ったのはいつだっただろう、バイトに戻ったのも。


覚えていない。


普通を装ってみたけど、まぁ無理で。


学校も最低限の出席。


でも、クラスの友人には気づかれたくない一心だった。


体調が悪いとずっと言ってやすむことに協力してもらったり


ごまかし続けていた。


バイトも同じように、助っ人してくれる人に甘えた。


ちょっとずつだけど、生活を戻していった。


恐る恐る、外にでて。


でも、笑ってはいけないじゃないけど。


笑った顔をもしあいつに見られたら、また「いい気になっている」と


目をつけられるんじゃないかって。


外で笑わなくなった。


あの時期 全く、笑わなかったと思う。


感情も感じないようにしていた。


生活が送れなくなるって思ったんだ。



しばらくして、バイト先の彼の親友が尋ねてきた。


「どうして、別れるのか」って。


「あいつの何がいけないんだ」って。


そんなの一つもない。別れたい理由は彼にはない。


「わたしが悪い」


そう言った。


「それじゃ、わからない」っていわれた。


そうだろうなって思った。



それから、しばらくしてバイト先で彼から無視されるようになった。


正直、気が楽になった。


嫌われたんだって思って、それはとてもつらいものがあって


よく泣いたけど。


でも、無視されたからバイトが続けられたように思う。


誰にも触れてほしくなかった。