いちろうさんのこと3 | 美しさの種をまこう 

美しさの種をまこう 

心に蓋をしたら、楽になれると思っていた。楽になりたいと望んでだら目の前が暗くなった。その暗がりから逃げて逃げてここまできたけど、つきまとう闇。蓋をあけることで自分に還ることにします。


会社をやめてもずっと消えなかった。


いちろうさんへひどい仕打ちをしてしまった自分の存在。


良くしてもらった記憶しかないのに、プロポーズしてもらったとたん


いちろうさんを恨んだわたしがいる。


頭がおかしいとしか思えない。


わたしは、ひどいやつ。


その気持ちと向き合っても向き合いきれない。


いちろうさんを思い出すと笑顔しかない。


でも、そんないちろうさんをひどい人に仕立て上げた。


そんな心の声がずっとループしている。


自分が許せないでいる。



あの後、職場に何度か足を運んだ。


実験室は、わたしが退職後すぐに移動が起きていた。


みんなで通った蕎麦屋さんに入った。


お世話になったパン屋さんに入った。


浮かぶのは笑顔のいちろうさん。


ずっと、苦しい。



優しくしてくれてありがとう。


笑顔をくれてありがとう。


いつも温かく迎えてくれてありがとう。


わたしの曲がった視点で、あなたを突き放して


そして恨んだ。


許してください。


許してください。


本当は大好きでした。