会社をやめてもずっと消えなかった。
いちろうさんへひどい仕打ちをしてしまった自分の存在。
良くしてもらった記憶しかないのに、プロポーズしてもらったとたん
いちろうさんを恨んだわたしがいる。
頭がおかしいとしか思えない。
わたしは、ひどいやつ。
その気持ちと向き合っても向き合いきれない。
いちろうさんを思い出すと笑顔しかない。
でも、そんないちろうさんをひどい人に仕立て上げた。
そんな心の声がずっとループしている。
自分が許せないでいる。
あの後、職場に何度か足を運んだ。
実験室は、わたしが退職後すぐに移動が起きていた。
みんなで通った蕎麦屋さんに入った。
お世話になったパン屋さんに入った。
浮かぶのは笑顔のいちろうさん。
ずっと、苦しい。
優しくしてくれてありがとう。
笑顔をくれてありがとう。
いつも温かく迎えてくれてありがとう。
わたしの曲がった視点で、あなたを突き放して
そして恨んだ。
許してください。
許してください。
本当は大好きでした。