ジーモンの練習は想像以上に厳しいものだった、と思いきや、そうでもなかった。
いいかみんな。
翔が言ったように、俺たちはリノリウムと友達にならなきゃいけないんだ。
彼は優しく接してあげたぶんだけ、俺たちにも力をくれる。
例えば、タンジュする時は足の裏でリノリウムを優しく撫でるように。すると彼は俺たちに、綺麗で強い足先を作ってくれるんだ。
ジーモンはボーイズたち1人1人に3メートル四方のリノリウムを手渡した。
これを使って家でバーレッスンをするもよし。
これをお布団がわりにしても良し。
とにかく出来るだけ長い間リノリウムと接するんだ!
みんなは
こいつどうかしてる
と思いながらも各自で実践。徐々に床をしっかりと使うことの大切さに気づきはじめた。
ジーモンの思惑通り。
レッスンでも効果は目に見えて分かるように現れていた。
優しくプリエしてあげたらいっぱいジャンプが飛べるようになったよ!ジーモン!
うん!その調子だ!
それに加えて翔には別メニューが課されていた。
ダブルソデバスクの特訓だ。
翔はすでにこの技を習得済み。ジーモンが披露したトリプルソデバスクに挑戦する意気だったが、ジーモンは技をいかにクリーンに行うことに重点を置き、完成度の高いものにする重要性を説いた。
バレエはあくまで芸術。どんなに難しい技でも美しさを伴わなければ意味がないと俺は思っている。
お前の天性の感覚と、真面目な性格なら、それができるはずだ!
そのジーモンの思いは確かに翔に届いていた。
アームス、状態の姿勢、脚のポジション、全ての要素がより正確に、美しくなっていった。
それと同時にジャンプの軌道も綺麗な弧を描くようになり、正しいポジションは技の向上にも繋がることに気づく翔であった。
スッゲー、まるで虹がかかってるみたいだぜ、、
これが後に翔が世界的に有名になる礎を築いた
レインボーソデバスク
誕生の瞬間である。
すごいや!ジーモンのおかげで俺の技がどんどん磨かれていく!
ジーモンと翔の関係はもはや師匠と弟子のようになっていた。
俺、これから先も、ずーっとジーモンに着いて行く!そんでもっともっと上手くなるよ!
ははっ、嬉しいな。
だが翔。お前は世界へ行くべきだ。
ここにとどまっていちゃダメだ。
そんな、、
まあ、ちょっと気が早かったな。
今はフェスティバルに向けて集中だ!
うん!
リノリウム作戦で総じてレベルアップに成功したボーイズ達はついにフェスティバルのための演目を練習開始。
小杉バレエ教室が今回やる作品。
それは、マスク・デ・ボール。
バイオリンを弾くシュトラウスの銅像を背に、彼の曲に合わせ、楽しい舞踏会が開かれている。
すると突然銅像が動き出した!
銅像の華麗な身のこなしで舞踏会は大盛り上がり!
という愉快な作品。
銅像役は翔。お前だ!
お前は魔法がかかったかのように動き出す。
そして今度はお前が客席のみんなを笑顔にする魔法をかけるんだ!
うん!分かったよ!
みんなを楽しませるにはまず俺が舞台を思いっきり楽しむ!
それでとびっきりのレインボーソデバスクを決めてやる!
その通りだ!
みんなも力を合わせて最高の舞踏会を作ろうな!
えいえいおー!!
次回予告
リハーサルが始まった!
最高の舞踏会に向けて、練習は順調に進んでいった。しかしハプニングが!
踊りに集中するあまり、俺は稽古場の柱に後頭部を直撃!当分練習ができなくなってしまった。
でも諦めない!舞台に俺は絶対に出る!
次回 エトワール翔 「まさかのアクシデント」
明日へ向かって、アンドゥトロワ!