N side








「わf...」
「だめ。 威嚇なんてこと、覚えなくていーの。」



翔さんの指が
オレの口の真ん中一文字に入り
まさにオレは翔さんの指を横に咥える形になった。




翔さんの指、
縦に舐めた事はあっても
横に塞がれることは無かったから
すげー気分がおかしい。


チロっと翔さんを見ると
『威嚇はやめて』と、

口元で囁きながら首を横に振っていた。


オレ、翔さんにしつけられちゃった。





「翔ちゃん、カッコイイ。わんこの事、ちゃんとしつけてくれてんじゃん。さっきオレの時はしなかったけど。」
「や、だってアレは、俺も初めて見たし…。」

「くふふっ  わかってるよっ。ニノちゃんの前だからカッコつけたいんだよね?」
「ちょっ 相葉くん…汗」




相葉さんもさあ、もっと上手く二人の仲を取り持ってくれればいいのに。そしたら2人はくっついて、現実世界のオレらみたいにラブラブになるわけじゃん。




あれ。
でも待って。


そうなったら
夢の中のオレが、現実世界に行っちゃって、

違和感なく翔さんとのラブラブを始めちゃったら…


この不安、ノンストップだ…。



「わふっ わふっ」
「ちょっ わんこっ」
「あれ? 急にどうしたのー?」


止まらない。
オレの口からの『わふ』が止まらない。
胸の中がモヤモヤするし、

とにかく、目の前のオレが気に食わない。



「わふっ」


「クスクス。可愛い『わふ』だからまだちょっと聞いていたいんだけど。翔さん、あのさ、この子と別部屋行って、思いっきり相手して来てもらってもいい?」



オレは怒ることなく

くすくす微笑みながらオレを見てる。

少ししゃがんで目線を合わせてて……。



あれ?

オレって割と良い奴なんじゃね?





「え。…なんで。」
「この子いま、強い不安を感じてんだよ。大人の男がドヤドヤ来たし、1人で家で待ってたし。あ、お留守番できて偉いねって、まずは褒めてあげてよ?」
「くぅん。」




思わず…漏れた。
声が。

て言うか
鳴き声が。




「ん。わんこ、お留守番ありがとう。ひとりで偉かったぞ。」

「きゅんきゅん」




オレの頭を撫でながら笑顔を向けてくれる翔さん。

甘くて柔らかな雰囲気に、オレのササクレだってた気持ちは、すんと落ち着いていった。




「くぅん。ぺろぺろぺろぺろ…」
「ぶっ ふはっ 擽ってぇ…」
「ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ……」



止まらないぺろぺろをお見舞いしてると
オレらをジッと見つめる相葉さんが
いても立ってもいられないって声を出した。



「うわっ 翔ちゃん…えっろ…」
「は? なにが。」



答えてるのは、多分オレ。
声でわかる。

ちょっと不貞腐れてるのが。


ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ……




「だって翔ちゃん、顔中ヨダレまみれでテカテカ光ってるよ?」
「そりゃなるでしょ、舐められてるんだもん。わんちゃんに。」



オレを『わんこ』とは呼ばないとか
それはあれか、
翔さんが名付けた『わんこ』は
認めないって事か。


オレはね、お前みたいに遠慮しなくていいのよ。

こんなにも翔さんとは相思相愛なんだから。




ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ…



「犬ってさ、あんなに舐めるもん?」
「さあね。」



翔さんを舐めるのはオレの役目。
オレに翔さんは渡さないっ


ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ…



「さあね。って、だってニノちゃん飼ってたじゃん。だから教えてあげたんでしょ?翔ちゃんに、わんこのしつけを。」


けっ
お前にオレがしつけられるかな?


ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ……



「違うよ。」
「え?じゃあ、なに?」

「あの犬の気持ちに、…なってみただけ。」



ぺろぺろぺ……。











にのちゃんのぺろぺろ攻撃、私にもお願いします🙏


続きは
ウキウキウォッチの12時。