この前に 1、2が上がっています。

まだの方はそちらからどうぞ🐤🐕🐾










N side









「翔さんも久しぶりだね。」
「そうだね。ニノも、元気してた?」


人間の『オレ』が翔さんの前に座り、
オレはオレで翔さんの膝元、
机の下で二人の会話を聞いている。


久しぶりの再会なのか
心做しか二人の声は落ち着いて聞こえた。



「んー。まあ、ボチボチかな。」
「あ、ジャにの400万おめでと。見たよ、Twitterとか。」
「うん。ありがとう。本当にさ、ありがたいよね。」





は?
何この当たり障りのない会話。


ドアを開けてオレが入って来たのはいいけど、着席する席が違くない?

なんで『オレ』は
翔さんの隣りに行かないの?


なんで『オレ』は、

机挟んで翔さんの対面に座ってんの?




「ニノ、昼飯は?食べたの?」
「食ったよ。さっき楽屋で。最近はもっぱら魚かな。」
「ふふっ 相変わらずだね。」



え、
翔さんもさ、すごい対外用の表情してて
話の流れが…

いつものオレ達と全然違うじゃん。




「そう言えばさ、相葉さんから聞いたんだけど、翔さんて犬飼ったんだって?」
「うん。…相葉くんに聞いたんだ?」
「そ、なんか『オレが翔ちゃんの為に選んだわんこなんだから間違いないっ』て大威張りしてましたよw」
「ふふっ そんな相葉くんの姿が目に浮かぶよw」




いやいやいやいや…


『相葉くんの姿が目に浮かぶよ』
って何?

翔さん、
なんでそんな遠い目をして語ってんだよ。





「翔さんだって、最近会いましたでしょ?相葉さんに。」
「うん、この間のCM撮影でね。」
「また?」
「?  そりゃ、この間ロケもしたけど、CMは2人で出てるから一緒にしたよ。」
「まあね。そりゃそーですよね。」




なんだろ、この違和感。



や、別に普通なんだよ。
普通の会話をしてるだけなんだけど
二人の間の空気感が…
冷めてるとも違う。
…どっか他人行儀な感じなんだ。




「じゃあ、オレ…行くね。」
「…あぁ。またね。」




翔さん、笑顔だし
多分オレも笑顔なんだろうけど。



翔さんがスっと立ち上がった。


多分、オレを見送るんだよね。
ならやることはアレでしょ?

ちゅーしてさ、
いつもならすぐに話しだす、今夜はどっちがどんな酒を準備しておくかってヤツ、決めてさ



「ニノ、体に気をつけて」
「うん。翔さんも仕事しすぎないでよ?」
「ふっ ニノもな…」



だからさー、オレには理解できない。
全くだよ。

なんで今生の別れの如く
翔さんの声が低いの?




ばたりとドアを閉めてから
翔さんが元の席へと戻って来た。

座布団の上にゆっくりとあぐらをかき
『はぁ』とひとつ、大きなため息を吐く。




何事なんだよ一体〜っ!


オレら喧嘩してんの?
え?
それなら、オレが来たりしないよね。
もしそうなら翔さんからオレの楽屋に来る。
や、いっそ もうケンカなんてしてる時間がもったいないから、オレらなら、その場ですぐ解決するじゃん。



机の下から少しだけ顔を出す。
あぐらをかいた翔さんの足首に
たしっと片足を上げてみた。


「ん…? あ、お前、ニノに人見知りしてたな?出てこなかったもんなー。」
「くぅん。」


オレを抱き上げて
真正面から顔を近づけて来る翔さんが
またオレの首元をすんすんと匂う。


すんすんすんすんすん…




長くね?
長すぎていい加減
首元が寒いのよw



また
たしっと翔さんの頬を撫でると
翔さんはゆっくりと顔を上げた。


その表情があまりにも情けなくて
眉毛のハの字がいつもよりだダダ下がってるから、なんかすげー悪いことした気分になった。


オレ、そんな叩いてないよ?
撫でただけよ?


きゅるんとした瞳で見上げると


「だあーーーっ もう、本物のニノも、すげー可愛いーーっ お前も可愛いんだけど、マジ今のニノ見た?ヤバくね?」



は?



何の話?




なおも興奮する翔さんは
オレの首元をすんすんしながら



「はーっ  こーしてー。マジこーしてーよー。ニノの首にすんすんしてー。」



なんて
独り言のようにぶつぶつ唱えてた。










(。'-')(。,_,)ウンウン
わかります。この子、ほんとーに可愛いんだから♥️
私も、この子の首元に自分の鼻を押し当ててすんす(お静かに)