末ズ

N side















今日は、櫻井先輩が激しかった。



痛いほど、激しかった…。




求められて、有無を言わせない目つき。
今日は、いつもと違った。


好きだけど。
櫻井先輩を好きなんだけど。



時折見せる切なそうな表情に、
オレはなんて応えたら良いかわからず、



夢中で両手を差し伸べた。




キ スされて。





揺らされて。





愛されて。






付けられた、櫻井先輩の 愛の証。





見えちゃうのに…そこ…。


見られたら、怒られるのかな…。


「櫻井先輩、ここ跡つけたら困ります」
「見えねーだろ。」
「見えますよ。」
「見えねーよ。」



こんな所、普通に生活してたら見えない。
誰にも見られない場所。


「カズが気をつけてれば大丈夫♪」
「そんな、他人任せな。」
「お前ならできるよ♪」
「隠し通せるかな。」



チラチラとそこが気になって。
指でたどってみる。


普段なら、誰も気づかない場所。
でも、見られてしまう可能性のある場所。



「そんなに心配なら、
    明日は俺から離れるなよ♪」


櫻井先輩はニヤニヤしながら、
オレを抱き込んでキスをした。


顔は優しいのに、抱き込む力が、
いつもより強い。


深い口 づけに、先輩の悲しそうな表情。
オレには何が出来る?



好きだと言っても、先輩はどこか切なそうに微笑む。

『ありがとう』

好きって、ありがとうなの?




さっき…微かに聞こえた先輩の声は…

『カズ…忘れないよ…』


先輩…なんで…?






櫻井先輩の腰に腕 を回して、
その弾力のある 胸 に顔を埋める。


先輩…?



顔を上げると、そこにはいつも通りの先輩の笑顔がある。


オレの頬を両手で挟んで、
むにむにして遊んでる。


ふっと目線が降りてきて、
深く 唇  を愛された。


「好きだよ…カズ…」
「先輩…今日、変です。」
「同じだろ?」
「んー。なんか、違います。」
「なんか?」
「はい。なんか…」
「なんだよ、それ。良かったって事だ
    ろ?」
「//え?そうは、言ってない…です…//」


また、キスされて。
甘い蜜が、オレの喉を潤していく。



「ここ…見られんなよ?」
「そんな…ここは…」
「俺からの『好きの証』なんだから」
「シャワーの時に…困るかも…」



先輩が、そこを撫でる。
その指先に触れられると、さっきまで火
照ってた体が、また…反応しちゃう。



「あれ…カズ…またか…?」
「//いや…あの…//」
「できんの?」


先輩も、ですよね…?


お互いに下 に伸ばした手…



「カズー。こりゃ、も1回かなー?」
「いやいやいや。」
「お前も、手で俺の触ってるよ?」
「こっ、これは…つい…」
「なに…。無意識…?」


先輩はにっこり笑って キ スをして、
そのまま下に降りていく。


「嬉しいな。これは俺しか責任とってやれ
   ない事だからな。」
「ん っ…責任取って…ください、よ…」
「くくく。了解♪」




もし、見られたら…




もし、見つけられたら…




どこかで期待している自分に、
自嘲する。



「もっと濃くしたいんだけど、跡。」
「ちょ。やめて下さい。」
「いいじゃん。どうせ、俺がいるんだし」
「嫌です。」
「嫌よ嫌よは、好きのうち♪」




付けてよ、先輩。




見える場所でも良いから。






見つけられた時の反応を期待する。
こんなオレを、もっと愛してよ。



ねえ。



先輩…













………………ごめんなさい。