櫻葉


A side















もう、新緑の季節かー。


オレさ、この黄緑色に色づいてく季節って、超好きなんだよな~。



オレは相葉雅紀。
大学2年になって、新しいキャンパスにやって来た。




オレは今、大学の構内にあるベンチに座って、友達が来るのを待っている。





ここはオレの特等席。






目の前には、横一列に植えられた桜の木々。



春に咲いた桜は全部散って、今は力強く若葉が出始めている。



もうちょっとすると、この桜の木にもたくさんの葉が青々と生い茂る。




綺麗な葉桜に…。





このベンチから見上げた所は、ちょうど経済学部の渡り廊下になってるから、運が良ければあの人を見かけるとこができる。





新しい生命…





キレイに芽吹いていく新緑の葉の向こうに……




大好きな、先輩が…。











「お待たせー。」


そう言ってオレの隣に座ったのは、友達のニノ、二宮和也だ。




「ニノ、購買部は、どうだった?」

「あった。すげー混んでたけど。あった。あった。」




ニノは勝ち誇ったようにニヤッとして、ホカホカの『グラタンサンド』を差し出した。



昼になるとごった返す購買部で、必ず先に売り切れちゃうのが、この『グラタンサンド』だった。



ニノ、マジで神だね。



背中を丸めて、嬉しそうにはにかむニノ。



「苦労したんだからな。」

「くふふ。ありがとね。」



オレはニノからグラタンサンドを受け取ると、ありがと。と、1度高く上げてから口に頬張った。




「うめーーっ!」
「うめーーっ!」



オレ達は食べながら、斜め上の渡り廊下に目をやる。




「ねえ。相葉さんのいい人は通ったの?」

「んー。いや。通ってないかな。」

「そっか。」



せっかくオレをここに座らせてくれたのに、ニノには何だか…申し訳ない。




「ごめんね?」

「なによ。」

「んー。ほら、オレをワザワザここで待つようにしてくれたのに、さ。」



ニノはオレをチラッと見てから、鼻からふっと息を吐いた。



「あのさ、そんなの運なんだから、相葉さんが謝ることないでしょ。」

「でも。」

「ホントにそう思うんなら、明日は相葉さんが買いに行って来てよね。」

「くふふ。わかったよ。」







ニノは、優しい。



同じ学部で、講義を聞く時に隣だった事から親しくなった。毎日一緒につるんで、話して、笑って、ゲームして。



あの日も、ニノと一緒にいたんだった。






始まりは、そう。





まだ、桜の花が咲いてる頃だった。













(;//́Д/̀/)ハァハァ
いい笑顔だわ〜






2016.4.25