いよいよ手術。

手術は朝9:00に看護師さんと共に手術室へ向かう。

術前3時間前からは水や経口補水液含め飲み物(勿論食べ物も)禁止になる。
禁止になる少し前からは看護師さんが事前にお知らせしてくれた。前日の夜21:00から6:00の間で経口補水液を500mlを飲み切った。

緊張する。
直前に友達が電話をかけたくれた。
「いってくる。頑張るね。」

刻一刻と時間が迫り、いよいよ呼ばれる。
看護師さんと共に手術室へ向かう。
母も立ち会い、手術室の看護師から事務連絡を受ける。説明後、母の元を離れ、いよいよ手術室へ入室する。


入室寸前。涙が出てしまった。
もういい大人だけど。泣いてしまった。

「大丈夫ですか。」
看護師さんが優しく問いかける。

「はい。」
私は答えた。
不安だ。怖い。でも行かなきゃ。
涙を拭い、手術室へ入った。


手術室へ入ると、何かもうドラマで見るような光景だった。手術服を着た看護師や医師が5-6人いて、
ベットに横たわる私を囲う。

最初は名前や血液型、普段から運動するか、お酒は飲むか、色々な質問をされた。
その後、血圧を測る機械や脳波を測る機械、エコノミー症候群にならないよう、足にマッサージ機、とにかく色々なものを装着される。

そして、いよいよ、麻酔科の先生が、

「ぼーっとする薬を入れますね。ぼーっとしてきたら教えてください。」


1分程度でクラクラしてきた。気持ち悪い。
「ぼーっとしてきました。」

もう覚えていない。

起きると、先程の麻酔科の先生。
「終わりましたよ。頑張りましたね。分かりますか。」


私は頷く。安心からか涙が出た。
先生がティッシュで涙を拭いてくれた。


手術室の時計の針は16:00を回っていた。
5時間くらい経ったらしい。

手術台からベットに移動される。
ベットのまま手術室を出て、母のいる元に向かう。
「頑張ったね。」

数十秒面会した後、元の病室へ戻る。


部屋に戻ってからは看護師さんが体を拭いてくれたり、ベットの高さを調節してくれた。
「傷も綺麗だよ。大丈夫だよ。」
「ありがとうございます。」

ついさっきまで自分でできたことが何一つ出来なくなっていた。
声もほぼ息でしゃべる程度だが、少し出た。

看護師さんに写真を撮ってもらった。
傷は首に大きな一本。
先生が傷を目立たないように1本で切ってくれたようだ。
診察時には甲状腺全摘出、リンパ転移ありのため、傷口は2本になるかもと言っていたが、
1本で手術してくれた。良かった。安心した。

しかし、とにかく暑い。
体温は37度後半まで上がっていた。体を拭いてもらい、布団をバスタオルに変えてもらった。
少しずつ体温が下がってきた。

部屋に戻ってすぐは疲労からか痛みもそこまで感じなかったが、2時間ほど経つと本当に全身が苦しかった。


看護師さんが携帯を近くに置いてくれていたため、
何とか携帯を握り、
友達に「生きてたよ。ありがとう。」
必死のLINE。これ以上できない。


首は手術の傷で激痛、喉も飲み込むと激痛、手足が長時間同じ体勢でいたため、とにかく重いし血が溜まっていく感覚がする。
眠るのすら怖かった。手足が使えなくなったりしないよな。

看護師さんに言うと眠剤を点滴で入れてもらった。
入れてくれて何時間後に寝れたかは覚えてないけど、とにかく辛かった。

辛い。こんなに苦しい思い経験したことがなかった。長く辛い夜だった。