各美術団体にはそれぞれ規約があります。
独立美術協会の規約には、「会員は地方に赴き独立美術協会出品者の指導に当たる」旨が明記されています。その際「謝礼は受け取らない」
とあります。
「しかし、交通費・宿泊費はこの限りではない。」
けれども、会員である、故前田さなみさんは新潟に来られるときには交通費も返します。
今月1日亡くなられた絹谷幸二さんは文科省の美術教育普及サポーターとして、日本各地の諸学校に赴き、美術教育に努められました。
30年以上も昔、新潟に来られた時には「美」の語源として「大きな羊はうるわしい」と語り、「美」とは「うるわしい」がもとであると話されました。小学校では「図画工作」ですが中学校では「美術」です。以後私が4月の新1年生の美術の授業では、この言葉から入るのを常としました。絹谷さんの作品は、教科書とは別の「資料集」の表紙にもなり、しばしば鑑賞で生徒に紹介しました。
独立美術は「日本油画」を目指してきました。西洋の油彩画を日本人のものとする運動です。西洋の模倣からの「独立」です。
昨年の独立展
大きくすると
いつもよりおとなしい感じ
また、「他人の作品をコピーすることは悪いことだ」「しかしもっと悪いことは自分の作品をコピーすることだ。」と語り、今日の画壇の作品が金太郎飴になっていることを批判しました。
日展と一線を画し、在野の雄として独創的な画風とともにわかりやすい言葉で語ってくださいました。絹谷さんは大家として壁をつくることなく、人と直接交わり、どのような人にも美術を熱く語る人で、実に多くの人々にたくさんの言葉を遺されました。
ただ対象を模倣するのではなく、テーマや精神性を大切にされました。
語る言葉と作品が一致する稀有な作家さんです。