新自由主義

政府の介入を最小限に、規制を緩和して個人の自由や市場原理にゆだねる考え…

1980年代、経済学者ハイエクは政府による政策にもコストがかかるとして、これを最小限に抑える政策を提言しました。金融緩和・関税など貿易障壁の撤廃など、自由貿易の推進が進められました。

アメリカでは民主党のカーター大統領が新自由主義を取り入れ、その後の歴代の大統領に引き継がれ、ソ連崩壊後も旧共産圏との対立と取り込みの理論的武器としてアメリカ中心の経済圏確立に利用されました。

イギリスではサッチャーが、日本では小泉純一郎が、その旗振り役となり、安倍内閣では『成長の果実』としてアメリカ経済との一体化を図り、日本はアメリカの金融資本をさらに受け入れました。日本は世界で一番多くのアメリカ国債を購入し、アメリカの財政を支えます。

小泉純一郎の構造改革に付随して、成果主義・数値目標が労働評価と賃金への指標とされます。

それまでは工場の稼働時間が生産性に比例しましたが、サービス産業において働く時間は生産と必ずしも一致しません。

日本の産業構造を変え、第二次産業の製造業中心から第三次産業のサービス業中心に移行させます。脱工業化です。これにより金融・販売・流通・観光・娯楽など『情報・知識・サービス』へ、モノからの転換が図られます。第三次産業の比率をアメリカ並みにする政策により、日本の製造業は海外に移転されます。

が、諸外国は次第に『新自由主義』から離脱します。とうとう新自由主義はアメリカと日本だけとなり、岸田内閣では新自由主義からの転換が宣言され、賃上げが進められます。ところが、新自由主義で悲鳴を上げたのはアメリカ自身でした。

『関税による貿易障壁の設定』『製造拠点の米国内回帰』『アメリカ経済圏の保護』

トランプ大統領の政策は、脱新自由主義です。

製造業の国内産業の空洞化、働く場の喪失、金融に偏った消費中心からくるインフレ、自由貿易による赤字の拡大…アメリカ経済の巨体は病魔にむしばまれています。

その国内財政の赤字を、米国債購入で日本が負担しています。

次に中国が米国債を所有し、トランプ関税の対抗策として、ダムの水を一気に下流に放出させる構えです。

米中経済戦争はすでに始まっています。

経済はいま、ヨーロッパ、ロシア、中国、アセアン、そしてアメリカといったブロック経済に移行し、政治とともに保護主義が台頭しています。

自国製造業の国内回帰は、むしろ今の日本に必要なことです。

特に地方においては。

ドル建てと為替差益による金融利益には限界があります。

株高でも国民に利益は還元されません。

国債依存と国民の貧富の差はますます拡大します。

狂気の沙汰にもみえるトランプ流経済政策ですが、実は理にかなっています。