秋晴れの日、山形県最上地方を訪れました。

お薬師様として、古く戸沢藩時代から地域の人々の信仰を集めてきました。

長い石段の両脇に、

三十三観音像があるのですが、そのつくりが精巧に彫られています。

一体一体のお顔がみな違い、表情豊かです。

特に気に入っているのが、馬頭観音像です。

三面六臂のお顔立で、頭上に馬の頭が乗っかっています。

加工していない画像だと、こんな感じです。

もともとはヒンズー教の神であったものが、日本に移入され、真言密教としてひろく浸透していったと思われます。

西日本は牛耕、東日本は馬耕と言われるように、農業はもちろん、流通の発達とともに馬は広く活躍してきました。現在でも、東北地方には馬頭観音を祀る石碑や像を、いたるところに見ることができます。

戸沢藩は山間の小さな藩ですが、腕の立つ石工がいたことが伺われます。古いお社の天井には、花鳥風月画がはめ込まれ、絵師もいたことがしのばれます。

ひと昔前、これら観音様には藁でしつらえた蓑がかぶせられていましたが、最近は農業用肥料を入れていた大きなビニール袋がかぶせられています。

稲刈りがハーベスターに代わり、藁をとっておくこともなくなりました。

山頂に鐘楼があり、

この吊り具も凝っています。

ごぉーんと柔らかい重低音が、

里山に響き渡ります。