日本人の価値観はきわめて現実的です。

神社にお参りする人は、必ず願い事をいいます。

願いをかなえてくれるのが神です。

信仰はご利益ではないのですが、日本人は自分の利益になることを信じます。

『徳』とは何か?

かつて私の歴史学の先生は「徳とはお金だ」と明言しました。

幾多の古文書を解読し、『徳』の使われる文脈から、『徳』とは『財力』『お金』の意味でつかわれていることを発見します。とりわけ中世には詳しく、「徳政令」は「借金免除」であり、「財」に便宜を図ることが『徳』です。

人々を豊かにするのも『徳』でありそれをかなえるのは「財」です。

寄進もお布施も本来は何でもよいのですが、いつしかお金です。

お金を積むことが『徳』を積むことです。

怪しげな宗教は逆手にとってお金をむしり取りますが、

何か良いことをするには「お金」がいります。

お金の流通量が十分でなかった時代には、願いをかなえるのは「お金」とは限りません。

ものであり、人力であり、が、それらを集めるのは『財』であり『徳』です。

徳川のつくる太平の世。

その裏付けは、広大な領地であり、兵力であり、金銀山です。

『徳』は『財力』です。