学校には不思議な現象が起こります。

昔いた生徒、校舎建築の時の事故、そして校舎ができる前の場所の由来。

広い用地取得にはそれなりの理由があります。

当時赴任したてのその学校は、荒れていることで知られていました。

美術の授業中も目が離せません。

美術準備室に入られると、何が起こるか分かりません。

ある時、確かに、体育着を着た、男子生徒が、準備室に入るのを見ました。

急ぎの個別指導をし終わり、準備室から出そうと中に入りました。

が、

誰もいません。

一瞬、ゾッとします。

恐る恐る、

移動棚の裏を覗いても、

流しのくぼみの下にも、

人はいません。

窓も、廊下への出入り口も鍵がかかったままです。

美術室には、全員います。

今も思います。

あの少年は、誰だったのでしょう。