共産圏の崩壊で世界市場は一気に拡大します。
緊張緩和後、アメリカは日本への気遣いが不要です。
対ソ戦略は大きく変わります。
日本も対中貿易にかじを切ります。
それまでの日本の家電生産も、人件費の安い中国からやがて東南アジアに工場をシフトします。
家電は生き残りを図り、洗濯機は進化を遂げます。
第一世代はドラムをただ回転させるだけ。
水流で汚れを落とします。
第二世代はドラムを斜めにします。
洗い物を揚げてそのまま下に落として水流を起こします。
第三世代は洗い物をしたからたたきます。
少ない水で汚れを追い出します。
ビートウォッシュです。
ビートウォッシュをするには小型で馬力のあるモーターが必要です。
日立の得意技はモーターです。新幹線は日立のモーターで動きます。
パソコンも急激に進化します。
しかし、松下電器はパソコンだけは販売しません。
松下電器はコンピュータ技術を家電に埋め込みます。マイコンです。
家電をコンピュータで制御する方式をとります。
今は自動車も家電になりましたが制御システムは同じ理屈です。
デジタル化により日本の得意技である家電は、逆に窮地に追い込まれます。
家電はどこの国でも安く大量に代り映えしない品質で生産できるようになりました。
現在は他国の同じ工場で生産された家電が、メーカーのシールだけ代えて出荷されます。
極端な話、家電メーカーに工場はいりません。デザイン・用途だけ設定し発注すれば、依頼された工場で大量生産できます。必要なのは販売できる流通網です。
第二次産業は商業・サービス業に変わります。
こうして日本の脱工業化が進みました。
第三次産業比率をアメリカ並みにする目標に近づきます。
1900年代初め昭和の終わりとともに日本は激変します。