金沢市内大乗寺近くに市営プールがあります。

温水プールです。

どうやったら泳げるのか?

すいすい泳ぐ人たちを見ると不思議で仕方ありません。

見ていると自分も泳げそうな気がします。

しかし、頑張れば頑張るほど体は前に進まず沈んでいきます。

浮くことさえできません。

学科ができても実技でクリアしても、水泳で落とされてしまいます。

諦めるしかないのかな、と思いつつほかの人の泳ぐ姿をうらやましく思います。

プールにはいつもある老人が来ていました。

体力のなさそうなやせた老人です。

しかし、老人は本当に楽そうに疲れも見せず何往復もします。

ふと気づきました。

「水泳に筋力はいらないんだ。」

持続するには当然体力が要ります。

しかし、浮かんで前に進むのに、力いっぱい腕手足をバタバタさせる必要はない。

人間は身体をまっすぐに伸ばして、肺にいっぱいの空気を入れれば、自然に浮くことが分かりました。

あとは少しの推進力さえあれば前に進む…

次の週、体をまっすぐに伸ばして、肺を空気でいっぱいにし、足だけバタバタします。

前に進みました。

次の週、腕を交互に回転させました。

さらに前に進めました。

また次の週、交互に回転させたその隙に、素早く首を水面に上げ、息を吸い込みました。

それを4回繰り返し、プールの向こう岸に到着できました。

25m完泳です。

採用試験体力検査まであとわずかでした。

初夏、日差しが新鮮な季節です。