高校に進学してよかったと思ったことは、

仲間ができたことです。

年はかけ離れていましたが、

運命の時期が少しでも違っていたら、

あの人たちとは出会っていなかったし、

出会ってもドラマは全く違ったものになっていたでしょう。

勉強の話、進路の話し、音楽や芸能人、プロ野球や少しの猥談。

社会人とはまた違った新鮮な目線で興味がわきます。

同じ場面で学ぶ仲間意識。

中学生になりたての頃にはなかった環境でした。

そして何かと教師も入りたがります。

ほんの少し大人目線が入ることで、

意識の天井に青空がのぞきます。

でも、怖ろしい感情が芽生えることがありました。

学期ごとの成績が親の元に郵送されます。

進学クラスでも一番になった時、

両親はとても喜びました。

2回目も、3回目も。

初めは成就感だけだったのが、

次第に次は?という不安に変わります。

2番目の子がライバルに見えてきます。

競争相手が『敵』に見えた瞬間がありました。

今思うと、

としえさんにとっての1番がなんとなく分かります。

「地元の人は勉強のやりすぎで病気になった」と陰口を言います。

家族にも偏見の眼を向けます。

しかし、心を病んだ原因は、この不安感と孤独感ではなかったかと。

今まで友達と思っていた人たちが不安と恐怖の津波となって襲い掛かる。

さらに自分のもろさを護ろうと自尊心の鎧で身を固める。

勉強は他人と順位を競うものではありません。

私は学校に戻ってきましたが、

相変わらず独学は続けました。

思考の妄想旅行は楽しい。

人を憎む気持ちはいらない。

里山全体が色とりどりに包まれます。

その次に来る世界は一面真っ白です。