寒冷な最上地方は夏は過ごしやすかった。

でも、冬は極寒の地です。

寮は11時に消灯。

舎監の「消灯五分前」の放送の後

11時にラジオ、テレビ、ステレオの音がぷっつり途絶え、

急に寮生がドアを開けて廊下に出て

歯磨きしだします。

口をすすぐ者、トイレに行く者、

あわただしい数分間の後

寮内は静まり返ります。

電気毛布を使っている人もいましたが、

コンセントも途絶えています。

布団の中は、時間とともに冷えてきます。

私はひらめきました。

湯たんぽ。

早速試すと一晩中暖かです。

一気に寮内にはやり、

入浴前は湯たんぽに熱湯を入れ、

着替えの服にくるんでから入浴し、

部屋に戻ったら布団の中を温めます。

部屋の中はいろんなものが凍りましたが、

朝までぐっすり眠れたと大好評でした。

大石田を見下ろす最上川。

葉山と月山に挟まれた次年子(じねんご)という集落があります。

冬に子が生まれても、ふもとの役場まで届けができないので、

雪解けを待って翌年の春、出生届をしたことから村の名ができました。

冬の杢蔵山。

凍てつく夜に、寮のガラスに結晶の華が広がります。