社長は地域の名士でした。

地域産業の立役者でした。

尊敬されていました。

毎年50名は新規採用していました。

しかし、社員数は約500人のままでした。

辞める人が多かったためです。

基本給の低さ。

すばらしい経営理念でも、『哲学』はごちそうになりません。

人生の第一歩に自信を持った若者たちは、定時制高校卒業とともに巣立っていきます。

毎年同僚を見送りました。

自分も将来を考えるようになりました。

でも、私に行くところはありません。

中卒では、

進学もこれ以上の給料をくれる仕事もありませんでした。

 

山形の内陸地方の冬は厳しく、昼でもキラキラ氷が舞っていました。

当時はダイアモンドダストなどという気の利いた呼び名はありません。

ただただ寒いだけです。

 

板に油彩。