こんにちは。

今日は赤外線写真の撮影方法と現像方法について書きたいと思います。

 

巷で人気の赤外線写真ですが、ネットで調べてもあまり説明がでてきません。

海外のサイトで「infrared」とかで調べるとありますが、なかなかわかりづらいことも。

そこで、私がやっている方法についてここでまとめてみたいと思いました。

ちょっとやってみたいという方の参考になればと思います。

 

1.赤外線写真(赤外写真)とは

 

Twitterなどでよく見られますが、ピンクっぽい異世界感の強い写真です。

こんなのですね。

これは私が撮影して、加工までしたものです。

特徴として、緑の木々がピンクになるというのがあります。

使う機材や編集方法、あとは人によってもかなりの違いはあるのですが。

気合をいれてやる場合は普通の写真が撮れなくなるようにカメラを改造して撮影したりもしますが、今回はなるべくお金をかけずにこの写真を作る方法をお伝えいたします!

 

2.準備する機材

 

必要、というわけではないのですが、この写真を撮影した時の機材は以下です。

 

・ミラーレス一眼カメラ(FUJIFILM X-E3を使用)

・レンズ(FUJIFILM XC15-45mm F3.5-5.6 OIS PZ)

・IRフィルター

 

 

普通の写真を撮影するのと違う点は、このIRフィルターを使用するところです。

こちらのフィルターはある特定の波長より長い波長だけを通すというものです。

 

波長については説明しているサイトがたくさんあるので、色で見てみるとイメージがわきやすいです。

 

 

 

こちらの商品はその波長を調整することができて、530nmから750nmまで動かすことができます。

530nm以降の光を通す設定にすると黄緑~オレンジ~赤~それ以降の波長を通します。

つまり、カメラに入ってくる光は比較的多いです。

750nm以降の光を通す設定にすると赤~それ以降(可視光外)の波長しか入ってこないので、カメラに入る光は少ないです。

 

通常はカメラ(もしくはセンサー)は可視光(380~780nm)以外の光をカットするようになっているのですが、全てをカットしているわけではありません。

このIRフィルターを使用することで、380~設定値までの光をカットしてしまうということですね。

ちなみにIRというのはInfrared(インフラレッド)で、赤外線という意味です。

 

このあたりの話は撮影に必要というわけではないですが、知っていると理解が深まります。

 

あとは、撮影機材ではないですがPCとPhotoshopを使用します!

PhotoshopはAdobeのフォトプランで契約すれば1,000円/月程度で使用することができます。

 

3.撮影編

 

撮影の方法についてです。

できれば三脚を用いて長時間露光で撮影することが望ましいです。

前述の通り、通常の光をカットしているので写真として成立するためには長時間光を取り入れることが必要になります。

カットする波長が多ければ多いだけ、露光時間は増えます。

530nm以降の光で撮影するのと、750nm以降の光で撮影するのでは、後者のほうがシャッタースピードが遅くなるということです。

 

実例を見てみましょう。

最初にお見せした写真の元データがこちらです。

撮影画像 F/6.4 SS=1/15 ISO-200

 

真っ赤ですね。

これは曇天の日で、うっすらと晴れ間がでたくらいの天候で撮影しました。

上記の通り、シャッタースピードは1/15秒です。

普通のカメラでこの設定で撮影したらおそらく真っ白になってしまうでしょう。

限られた波長しか撮っていないためにこのような写真になっています。

赤い波長だけで撮影したから何もしないと赤い写真になります。

IRフィルターの設定はいろいろと試しましたが、650nm~程度がうまくいきやすいので私はこれで撮影することが多いです。

加えて、現像の過程ではRAWデータを使いますので必ずRAWで撮影するようにしてください。

 

この写真をもとに、ソフトで編集をしていきます。

 

4.現像編1 CAMERA RAW

 

現像はPhotoshopを使用します。

撮影したRAWデータをPhotoshopで開くと、CAMERA RAWというモードでデータが開きます。

Lightroomのように編集ができる状態ですので、ここで元画像をいじります。

正直、この工程が最も大事です。

撮影素材でミスをするとあとでどうしようもないので、撮影も大事ではあるのですが。

ここからは感覚的な話で進みます。

もっと体系的に、再現性のある方法で説明できないか試行錯誤したのですが、できませんでした

元素材によっても違うし、不確定な要素が多いのです。

膨大な試験をすればできるのかもしれませんが、今のところは解明できていません。

 

さて、この画像を編集します。

いろいろな方の方法を調べた限りでは「暖色と寒色に分離する」とかコントラストをはっきりとか書かれているのですが、正直やりかたもゴールも理解できませんでした。

なので、自己流です。

目指すところは、「最終的にピンクにしたいところを朱色に、青くしたいところを桃色に」です!

 

初期状態

 

まずはホワイトバランスを左まで移動します。

最も寒色にするということです。

同時に自然な彩度を-50にします。

全体的に褐色っぽく、ピンクっぽくなりました。

 

しかしこれだとピンクに仕上げたい部分(→木の部分)がまだ暗く、目指す朱色になっていないのでまだ調整します。

色温度を暖色側にやや戻し、色被り補正をマゼンタ方向に動かします。

すると木の部分に赤っぽい色が乗りました。

 

暗いところを明るくしたいので、露光量とシャドウを上げます。

露光量+1.05、シャドウ+43としました。

全体的にかなり明るくなります。

 

これだと明るい部分が明るくなりすぎているので、暗くします。

ハイライトと白レベルを下げます。

ハイライト-34、白レベル-26としました。

CAMERA RAWでの補正はここまでとします。

非常に感覚的ですが、木のところは朱色、奥は桃色になったのではないかと思います。

 

次の工程に行きましょう。

CAMERA RAWでの作業は終了なので、Photoshopに移ります。

ウインドウ下部のOK、または完了をクリックすると今の画像をPhotoshopで開くことができます。

 

5.現像編2 Photoshop

 

Photoshopで画像を開いたら調整レイヤーを入れます。

画面下部の半分塗りつぶされたような丸のアイコンから、チャンネルミキサーを選択します。

するとチャンネルミキサーのレイヤーが作成されます。

下層の写真のレイヤーにここで設定した加工が反映されるということになります。

ここからはカラースワップと呼ばれる操作になります。

 

一般的な赤外線写真のサイトでは、下記のように動かすよう指示があります。

 

レッドチャンネルのレッドを0に、ブルーを100に

グリーンはそのまま

ブルーチャンネルのレッドを100に、ブルーを0に

 

するとこうなりました。

この時点で「最終的にピンクにしたいところを青っぽく、青にしたいところが黄色」になるのが理想的なのですが、うまくいっていません。

これでなかなかうまくいかなかったので海外のサイトをあさってみた結果、下記のように動かすのもあり、こちらを普段は採用しています。

うまくいかない場合は両方試してみてください。

 

レッドチャンネルのレッドを0に、グリーンを0に、ブルーを100に

グリーンはレッドを0に、グリーンを0に、ブルーを100に

ブルーチャンネルのレッドを100に、グリーンを100に、ブルーを0に

 

するとこうなります。

本当はもうちょっと上のほうが黄色くなると理想的なのですが・・・。

許容範囲です。

 

次に、先ほどと同様に調整レイヤーを追加します。

カラーバランス色相・彩度です。

 

色相・彩度のパネル内、色相パラメータを左右に動かすと全体的に色が大きく変わります。

右に徐々に動かしていくと、全体がなんとピンク色に。

なんとなくゴールが見えてきました。

 

あとはカラーバランスを含め、各種パラメータを微調整して完成になります。

ただし、CAMERA RAWの段階でうまく色を調整しておかないとあとで大幅な修正がきかないので、思い通りにいかない場合は前工程からのやり直しです。

なんとなく、「桃源郷」っぽい雰囲気の写真になったのではないでしょうか。

 

6.まとめ

 

カラースワップの段階でバシッと決まると気持ちがいいものですが、そんなに簡単にうまくいきません。

試行錯誤を繰り返すことで前段階でなんとなく後工程のイメージがつかめてきたりするので、いろいろな素材で編集をしてみるとよいかと思います。

うまくいくとこのような不思議な雰囲気の写真にも。

 

それでは、新たな写真ライフをお楽しみください。