私的妄想


大型音楽番組の収録が終わった11/25、時間はもう日付をまたぎそう。
司会をしていた俺はこの後挨拶回りをして、軽く反省会もして…まだまだ帰れそうもない。
明日誕生日の貴方は、後輩たちやスタッフからすでにたくさんのお祝いの言葉やプレゼントをもらっていた。たぶん今は楽屋で着替えて、もう帰る頃かな。近くにいるけれど、直接話をすることはできなさそう…。

けれど、俺は「ちょっと電話してくる」とスタッフに断って喫煙室へ向かった。
深夜人気のない奥のベンチには見慣れたキャップをかぶった後ろ姿。
「さとしぃ」
「あれ?しょおちゃん!
いいのか?こんなところに来て」
貴方がうれしそうにくしゃっと笑う。

「だってどうしても今メールしようと思って。
でも会えた!!運命だ!」
俺もうれしくて、気分がぐいっとあがった。
あがった気分のまま、貴方に触れたい気持ちが抑えられない。近づいて、座っている貴方の肩を抱くと、かがんで唇を寄せた。
こんな時は素早い俺を貴方はきょとんとしたかわいい瞳で見た。俺はそのまま目を合わせて言う。

「誕生日になったね。おめでとう」

貴方は照れた顔になって、でもそっと肩に回した手に指を絡め、
「…ありがと、しょう。」と言った。

「今すぐ一緒に帰りたい」
思わず口に出してしまうと、あなたはちょっと真剣な顔になって、
「必ず待ってるから、もうちょっとやっておけ!」

その言葉にまなざしに元気づけられて
「はいっにいさん!」と敬礼をする。
貴方もそれに答えて、敬礼を返すと
「ふふっ」
目を見交わして笑った。