初期伊万里の梅鴬文吹墨陶片(江戸城出土品ではありません)です。
平成14年(2002)に東京都千代田区が江戸城の汐見多聞櫓台石垣修復に伴う発掘調査を実施しました。この際に石垣背面から将軍家に献上された松ヶ谷・初期鍋島、中国磁器陶片等とともに初期伊万里梅鴬文吹墨陶片が出土しました。
これら陶片は、明暦3年(1657)の大火、いわゆる振袖火事によって江戸城天守や本丸などが焼失し、この時の焼土や瓦礫とともに被災陶磁器・土器などが埋められました。
このことから、梅鴬文吹墨皿は、鍋島献上と同時期あるいはそれ以前に将軍家に献上されていたことが分かります。
下の絵図が江戸城の発掘地点です。この地点は寛永年間までは濠でしたが、埋め立てられて東照社が造営されていました。明暦3年1月初めに、この東照社の石垣を基礎の一部として利用し、汐見多聞櫓台石垣構築工事が開始されたのですが、開始直後に明暦大火が起き工事を一時中断、その後再開されて同年11月に石垣が完成しました。右側は出土陶片写真です。
※ 「鍋島 誕生期から盛期作品まで 明暦三年被災、江戸城跡出土の初期鍋島陶片」より写真等お借りしました。
※ 吹墨小皿は、天神森窯から出土品が見られ、窯の辻窯からも小品を主体に数多く出土しています。