母は感情の表現があまり上手くないと思う。
私が小学生の頃。
スーパーファミコンが登場した。
それまではファミコンで、ほぼ毎日ファミコンをしてたほどゲーム好きだった。
「欲しい~。スーパーファミコン」
もちろん母は大反対だった。
そんな余裕などなかったはずだ。
でもそんなこと私はしったこっちゃない。
「欲しい欲しい~」
私は父っ子だった為か、
私が欲しがったものは比較的買ってくれようとした。
このスーパーファミコンもしかり。
「なんで。
なんで買ったん。誕生日でも何でもないやん。」
みたいなことを言って母は怒っていた。
それをよそに私はものすごく嬉しかった。
スーパーマリオのソフトまでついてた。
大興奮ですぐテレビにつないで遊んだ。
隣の部屋から泣いてる声がする。
お母さん、泣いてる。
お母さんはしばらく部屋から出てこなかった。
スーパーファミコンを買ってもらって嬉しい気持ちと、なぜ母が泣いてるのか分からなかった悲しい気持ちがいりまじった日だった。