母は免許を持っておらず、
父の休日に一週間分の買い出しをするのが恒例だった。



小学生の頃、
私もお菓子を買ってもらうためによく付いていった。
お菓子は一週間200円までだった。



恒例のとある日。
母に、
「一緒にスーパーに来てほしい」
と言われたが、
私は漫画が読みたかったので断った。



断っても、
「来て欲しい」


と言われ断り続けたら、
「どうやったら来てくれるん?」


と言われたので、
「お菓子500円分かっていいなら行く」


といったら、
「買ってあげるからと来て」
と言われついて行くことにした。



母は切羽詰まった時によく色んな物を買ってくれた。
それはただ単純に嬉しかった。


その日
しぶしぶ付いていったか、
ルンルンで付いていったかは覚えていない。




後で知ったか、その時知ったか、
父と母は喧嘩中で
二人きりで買い物に行きたくなかったから、私は誘われたらしい。



記憶にあるくらいだから、
やっぱり父と母の喧嘩が嫌だったのだろう。

もしくはお菓子500円が相当嬉しかったからかもしれない。



そんな理由でスーパーについて行かされることはそれ以降も度々あったように思う。



それにしても
喧嘩中なのに、
買い物につれていってあげるところが
父の優しさだと思う。



「自分で電車乗って買いにいけや。」
なんて絶対に言わない父だろうし、

電車乗ってでも、
意地をはって買い物にでかける母でもない。





そのスーパーには昔、
大きなフードコートがあり、
よく食事や休憩をした。



小学生の頃、
大好きなソフトクリームを買い、
嬉しさのあまり家族が座っているテーブルに走って戻ってしまった。





そうなるであろうことに、
コーンにのっているクリームが全部床に落ちてしまって、周りの人に可哀想ねーと言われた。



ショックだったし、
恥ずかしかった。


記憶はそこまで。
落ちたソフトクリームは、きっと母がふいてくれたんだと思う。 
もう一個買って貰えたかどうかも覚えていない。





そんなフードコートも、
今は20テーブルがあるくらいで小さくなってしまった。



実家に帰ったときには、
昔を思い出したりしながらそこで休憩をする時間が今も心地良い。



私はあのスーパーが大好きだ。