防諜・テロ・報復・恐喝を目的とする特別執行機関、それがSPECTRE | hiroチャンのブログ

防諜・テロ・報復・恐喝を目的とする特別執行機関、それがSPECTRE

防諜・テロ・報復・恐喝を目的とする特別執行機関、それがSPECTRE

(つづき)






CIAエージェントのフェリックス・ライターは、原作では第1作『カジノ・ロワイヤル』から登場し、しばしばボンドに協力する盟友であるが、実は『ドクター・ノオ』には登場していない。本作でライターを演じたジャック・ロードは、後にテレビシリーズ『ハワイ5-0』のスティーブ・マクギャレットが当たり役となるアメリカの俳優である。ライターは、映画版でも原作同様しばしば登場することになるが、俳優は毎回異なっている。2度演じたのは『死ぬのは奴らだ』と『消されたライセンス』のデビッド・ヘディスンと、『カジノ・ロワイヤル』と『慰めの報酬』のジェフリー・ライトのみ。
原作では第2作の『死ぬのは奴らだ』もジャマイカを舞台にしており、ストラングウェイズやクオレルは、そこで一度登場したキャラクターであった。映画の『死ぬのは奴らだ』は製作順序が後になったうえ、舞台も変更されてしまったが、クオレルの息子クオレル・Jr.が登場する。空港に登場するフォトグラファーを演じているのは、マーゲリット・ルウォーズ。航空会社 BWIA の空港カウンター職員をしているところを、ヤング監督にスカウトされ出演が決まったが、実はミス・ジャマイカでもあった。ボンドを拉致しようとする運転手ジョーンズ役のレジー・カーターは、彼女の義兄である。また、ボンドとライターが食事するバックで演奏している楽団は、ジャマイカのバイロン・リー&ドラゴネアズである。

初回上映時の邦題『007は殺しの番号』は、字幕を担当した映画翻訳家の高瀬鎮夫が進言して採用された。





ボンドはライターにスーツはどこの仕立てかを聞かれ、サヴィル・ロウ(ロンドンの高級仕立て屋街)と答えているが、実際に仕立てたのは、サヴィル・ロウに近いコンデュイット(コンジット)・ストリートに店を構えていたアンソニー・シンクレアであった。元もとは陸軍将校を顧客にしていたテーラーで、陸軍出身のヤング監督がその常連だったことから、撮影用のコネリーのスーツの仕立てを依頼された。また、コネリー着用のシャツは、ロンドンのジャーミン・ストリートに本店のある、1885年創業のターンブル&アッサー製。元々はオーダー・メイドのシャツの店で、チャールズ皇太子やウィンストン・チャーチル御用達としても知られる。

呼び出しを受けたボンドが赴いたのは、7階建ての某ビル内にある5階のユニバーサル貿易(Universal Exports)だった。これは、007シリーズの英国秘密情報部が使っている隠れ蓑の会社で、原作ではリージェンツ・パーク沿いのビルにあることになっているが映画では、ウェストミンスター宮殿のすぐ近くということになっている。この設定は『消されたライセンス』まで続けられたが、建物の外観が明らかになったことは一度もない。ここでMが自分を MI7 (DVDの英語字幕では MI6 に変えられている)の部長だと述べており、実在のMI6ではない架空の組織となっている(映画で所属組織が MI6 となったのは、『ゴールデンアイ』から)。ボンドはオフィスに入ると、自分の帽子を投げて奥にある帽子掛けに掛ける。これもシリーズ恒例のシーンとなり、帽子をかぶる習慣がすたれてからも、形を変えてしばしば登場した。1960年代中頃には、多くのバラエティ番組などで真似されたり、パロディ化されたりした。
Mのオフィスを退出した後、ボンドの自宅のシーンがある。自宅は外観が明らかになっていない。ボンドの自宅が明らかになったのは本作と『死ぬのは奴らだ』の2作のみ。

ボンドは、ドクター・ノオに1955年のドン・ペリニヨンを出され、1953年もののほうがいいと述べた(本映画シリーズで恒例となるスノビズムの始まりという指摘がある)。

ドクター・ノオは、中国の実在の犯罪組織トング(Tong)の元メンバー。原作ではその後独立し、ソ連を商売相手にアメリカの誘導ミサイル実験の妨害を行う。映画では、架空の組織スペクターの幹部。スペクター(SPECTRE)とは、SPecial Executive for Counter-Intelligence, Terrorism, Revenge, and Extortion (防諜・テロ・報復・恐喝を目的とする特別執行機関)の略。英単語のspectre(幽霊。米語ではspecter)に掛けている(小説でスペクターが登場するのは、『サンダーボール作戦』から)。ドクター・ノオは、映画ではミサイルだけでなくアメリカの月ロケットの妨害も企む。本作公開前年の1961年にケネディ大統領が、1960年代中に人間を月に着陸させると声明を行い話題になっていた。しかし、劇中に出てくる映像は、前段階の有人宇宙飛行に過ぎないマーキュリー計画のものである。

秘密兵器など
本作では、後の作品のような奇抜な秘密兵器は一切登場しない。特殊装備を施したボンドカーも、まだ登場しない。ボンドはレンタルした1961年型サンビーム・アルパインで、カーチェイスを行う。

ワルサーPPK(.32口径/7.65mm)。ボンドはベレッタM1919(.25口径/6.35mm)を使用していたが、前回の任務で作動トラブルため失敗を犯し、半年間病院送りとなった。そのため、Mの命令で銃の専門家ブースロイドから、このワルサーを支給される。しかし、劇中でコネリーが使用していた銃はPPKではなく銃身の長いPPである(小道具担当はあまり銃器に詳しくないようで、スミス&ウェッソンがコルトであったり、PPKを持っているはずのボンドがデント教授をブローニングで殺害したりしている)。なお、前回の任務とは、原作では『ロシアより愛をこめて』のことなのだが、映画では製作順が逆になってしまったため、『ロシアより-』の結末は原作とは異なっている。

ガイガーカウンター。調査に必要となり、ロンドンから送らせた。何か他のものに偽装しているわけではなく、正真正銘のガイガーカウンターである。

ドラゴン戦車。ドクター・ノオの島であるクラブ・キーを警備する車両。ドラゴンに偽装し、火炎放射器を装備している。ドクター・ノオは、島にドラゴンがいるという噂を流し、迷信深い漁師が近づかないようにした。

デント教授を射殺するシーンで、ボンドの靴下の位置がシーンによって上下する。また、途中でワルサーPPKからFN ブローニングM1910に変化する。

主題歌
モンティ・ノーマンが基本を作った"James Bond Theme"がメイン・テーマとなった。そのモンティ・ノーマン・オーケストラのヴァージョンもあるが、ジョン・バリー・オーケストラのヴァージョンは、イギリスの『ミュージック・ウィーク』誌で、最高位13位を獲得している。アメリカでは、チャート入りを果たせなかったが、同サウンドトラック・アルバムは、『ビルボード』誌アルバム・チャートで最高位82位と健闘した。

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