零が動く時 -4- | hiroチャンのブログ

零が動く時 -4-

 零が動く時 -4-

午後5時10分
梅川、男子行員に「警官が1人でも入ったら人質を殺す」と110番させる。
午後5時30分
吉田本部長、坂本捜査一課長、伊藤管理官らが相次ぎ到着。吉田本部長は「私が前線で指揮を執る。1階がどんな状況かつかめ。死者とけが人を外に出せる方法を考えるよう」と幹部に指示。警察は負傷者手当てのため医師の立ち入りを求めるが梅川は拒否。
午後5時56分
梅川が発砲、女子行員に衣服を脱がせる。「片親のもんと電話係は脱がんでええ。他は全部脱げ」と命じ、女子行員18人を全裸にさせる。梅川は支店長席に陣取り、人質の女子行員を机の上に座らせる。3人の女性を周囲に立たせ、銃口を1人の背中に突き付けたまま「この銃は国産やが最高級や。すごい威力やで」。
「俺は遊び人やからオナゴの裸はようけ見てきとる。いまさら、ヌードの女が見とうて脱がせたんやないで。お前らは俺の家来や。家来は殿様の言うことはなんでもきかなあかん。それを証明するのに裸にしただけや。妙な気はあらへんよって、その辺の心配はせんでええ。けど、マスコミの奴らがどう書くかは保証でけへん。あいつら、エロ記事を書きさえすりゃ売れると思うてるさかい、面白おかしゅう書き立てるかもしれへん。そこまでは俺の責任やない」
午後6時40分
ライフル装備の府警狙撃隊が2階に入り待機。
午後6時45分
捜査一課特殊捜査班員が手動ドリルで東側シャッターに穴を開ける。1つの穴を開けるのに20分以上かかる。午後11時までに北、東に計7つの穴が開く。当初、レーザーの使用や硫酸でシャッターに穴を開けることも検討されたが、レーザーはトラック1台分の設備が必要で人間に照射した場合即死する可能性もあること、硫酸は垂れ落ちて溶解しなかったことから断念。
梅川、2階の支店次長に電話。「400グラムのステーキとワインを持ってこい」と要求。特捜本部、要求を受け入れ、レストランから取り寄せる。同時に警察病院から液体睡眠薬を取り寄せ、ステーキソースに混ぜて坂本課長が毒見したが、舌先に刺激を感じたため睡眠薬で眠らせる作戦を断念。
午後6時54分
梅川が猟銃を発砲。客8人を東通用口に面したカウンターに沿って並ばせ、ロビーの監視を命じる。男子行員には北通用口と階段下の監視を命じ、「ポリの姿を見たら合図せい。少しでも遅れたら誰かが死ぬことになるで」。人質をトイレに行かせず、カウンターの外で済ませるよう命じる。自身は床に紙を敷いて済ませ、大便はゴミ箱にした後、臭気が漏れるのを防ぐためビニール袋をかぶせる。
午後7時
サーロインステーキとワインを差し入れ。15年前に支店が完成した際に工事に関わった建築、内装、電気、空調業者が呼ばれ、集まる。「大阪錠前技術研究所」の所員が支店南裏の地下貸金庫室に通じるドアの開錠作業を開始。
午後7時14分
警察が多重無線車近くの路上で記者会見。公報担当幹部が「犯人は、女子行員の何人かに上着を取らせている模様」と発表。
午後7時25分
梅川が猟銃を発砲。
午後8時
2階支店長室が手狭なため、特捜本部を3階女子更衣室に移動。吉田本部長、新田刑事部長、三井警備部長、友清三千夫刑事部庶務課長、木村好次警備一課長、中島元警備二課長、坂本捜査一課長、木口調査官、伊藤管理官が入る。
この頃、北通用口の西隣の通用口が施錠されていないことが判明。トレーニングウエア姿で裸足の捜査員がここから行内に入り、匍匐前進したが、行員に「近寄らないで」と言われ引き返す。その後も潜入捜査は続けられる。
午後8時26分
梅川、2階支店長室に「警察の偉いもんと代われ」と電話。木口調査官が出て「下の者は元気か」と問うと「みんな元気や。警官の姿が見えたら人質を殺す」と答える。木口調査官が「要求があるなら言え」「けが人を早く出せ」と言うと「けが人なんかおらへん。6人死んどる」と言い、電話を切る。
午後9時
吉田本部長、「今から1時間半以内に、どのようにすれば犯人を逮捕し、人質を救出できるか、最善の方法を考えるよう」と指示。木村、中島、坂本、伊藤、木口が協議に入る。
テレビ中継を見ている全国の視聴者から警察に抗議の電話が殺到。「警察は何もたついてるんや。催涙弾をぶち込んでいぶり出したらええのや」「カレーライスに睡眠薬を入れろ。カレーなら多少苦くても分からへん」「俺たちは暴走族だ。いつも警察と喧嘩ばかりしてるが犯人の残忍さに腹が立ってきた。防弾チョッキを貸してくれれば決死隊を集める。電気を消して突っ込めばうまくいく」。現場に突入しようとして機動隊に制止される酔っ払いも。
午後9時10分
梅川が発砲。
午後9時15分
応接室に隠れた会社社長から「犯人は時々発砲している。そちらの対策はどうなっているか」と書かれたメモが応接室の窓越しに捜査員に渡される。
午後10時
シャッターの「のぞき穴」から観察した結果、カギ型に並べた机の上に人質の女子行員が正座させられ、人間バリケードが築かれていることが判明。
午後10時45分
坂本一課長らが協議終了。「強行突入しかない」と吉田本部長に進言。同本部長は了承。突入は27日午前零時に決定。跳弾を避けるためライフルは使わず拳銃を使用し、突入隊は西側通用口から廊下伝いに入る。第二機動隊訓練指導担当・松原和彦警部が陣頭指揮に当たり、岩沢匡祐・警備一課管理官が「のぞき穴」からチャンスをうかがい、突入時期を判断。松原警部に無線で報告。突入班は33人。うち松原ら6人が突撃隊に決定。松原ら6人は3階会議室を1階に見立てて訓練を開始。警察庁から派遣された仲三男・刑事調査官課長補佐(警視正)が特捜本部に入る。
午後11時
梅川が発砲。
午後11時30分
岐阜県多治見市の国鉄多治見駅前をうろついていた共犯の男(当時31歳)を多治見警察署駅前派出所所員2人が職務質問。共犯は「大阪の銀行強盗に使われた車は自分が盗んだ」と供述、同署に連行。
午後11時35分
田村隆司・警察庁刑事調査官特殊事件捜査指導官(警視)が特捜本部に入る。


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