SPECTRE | hiroチャンのブログ

SPECTRE


【エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド】②







ショーン・コネリー主演作品
『007 ロシアより愛をこめて』『007 サンダーボール作戦』
演:アンソニー・ドーソン(声:エリック・ポールマン)
ブロフェルドの最初の登場はシリーズ第二作『ロシアより愛をこめて』で、その次が第四作『サンダーボール作戦』である。
両作でブロフェルドはその顔を現さず、最後の出演者クレジットでも俳優の名はクエスチョンマークで伏せられた。彼は背広姿で椅子に座って白いペルシャ猫を撫でており、見えるのはほとんど手と猫だけであった。

『007は二度死ぬ』
演:ドナルド・プレザンス
当初チェコ出身のコメディ俳優ヤン・ヴェリフが起用されていたが、イメージ面で温和すぎ、ミスキャストとの指摘が監督、スタッフから続出。数シーン撮影の後降板となり、急遽プレザンスに交代となった。『007は二度死ぬ』初お目見えのプレザンス演じるブロフェルドはスキンヘッドで顔の右側に縦の傷跡があり、ぎょろりとした青い目の中年の男で、人民服のような折襟の上着にペルシャ猫を抱いているという姿であった。しかし、その後は毎回異なる俳優が演じたため、顔も性格も毎回異なった。
『007は二度死ぬ』で顔の右側についていた長い傷跡は後の2作にはない。ただし、後の『007 スペクター』のブロフェルド=オーベルハウザーは、映画終盤にほぼ同様の顔右側の傷を負う。

『007 ダイヤモンドは永遠に』
演:チャールズ・グレイ
髪は銀髪でふさふさとしている。フレミングの小説では、ブロフェルドは諜報機関などに気付かれないよう毎回整形手術などで容姿を変えているとされており、これに沿った変貌振りである。『ダイヤモンドは永遠に』のアヴァン・タイトル(タイトルが出る前の冒頭部)でも整形技術を用いたブロフェルド自身の影武者造りの計画をグレイが語っている。その後のラスベガスでの再登場、ボンドとの再会シーンでは影武者と2人で姿を現す(白いペルシャ猫も2匹用意している)。ちなみに、『ダイヤモンドは永遠に』でブロフェルド役を演じたチャールズ・グレイは『007は二度死ぬ』においてもイギリス情報部のヘンダーソンとして、端役ながら出演している。

『ネバーセイ・ネバーアゲイン』
演:マックス・フォン・シドー
ブロフェルドと「スペクター」は、ケヴィン・マクローリーとショーン・コネリーによって製作された『サンダーボール作戦』リメイク版である本作にも登場した。演じるマックス・フォン・シドーは口ひげ・あごひげに蝶ネクタイの背広という姿であった。

ジョージ・レーゼンビー主演作品
『女王陛下の007』
演:テリー・サバラス
ボンドをスキーで自ら追跡、雪崩を起こして捕えたトレイシーを口説いたり、ボンドとの結婚直後のトレイシーを殺害するなど、前作よりかなりアクティブなブロフェルドとなっている。
またスキンヘッドは前作『007は二度死ぬ』と同じだが、デ・ブルーシャン伯爵位を得るため、(ブルーシャン家の肉体的特徴を得るために)耳たぶを切り落としている設定となっている。服装は折襟から立襟のマオカラースーツになった。

ロジャー・ムーア主演作品
『007 ユア・アイズ・オンリー』
演:ジョン・ホリス(声:ロバート・リエッティ)
本作でのブロフェルドに似た人物の登場はアヴァンタイトル(タイトルが出る前の冒頭部)である。電動車椅子に座ってペルシャ猫を抱いた禿頭の男(顔ははっきりとは見えない)が、ボンドの乗ったヘリコプターを遠隔操作し墜落させようとする。しかし、ボンドは手動操縦に切り替えて男をヘリコプターのスキッド先端で車椅子ごとつまみ上げ、工場の煙突へ落下させる。
ここではブロフェルドに似た男の名は最後の出演者クレジットにも出てこないが、これは当時イオン・プロとケヴィン・マクローリーが『サンダーボール作戦』の映画化権とブロフェルドというキャラクターの著作権をめぐり法廷で争っていたためでもある。マクローリーはフレミングの旧友であり、ジャック・ウィッティンガムと三人で1950年代後半にジェームズ・ボンドシリーズの映画化・テレビ化を模索して多くの脚本を書いていた。この映画原案のひとつをフレミングが無断で小説『サンダーボール作戦』にしたため、マクローリーとウィッティンガムはフレミングを法廷に訴えた。1963年の暮れ、フレミングが2人に対する損害賠償支払いを行い、以後の小説では2人の名をクレジットするよう判決が出た。小説の権利はフレミングに残ったため、スペクターは1963年以後もフレミングと後継作家たちにより小説に登場している。

マクローリーは映画プロデューサのアルバート・R・ブロッコリおよびハリー・サルツマンと『サンダーボール作戦』映画化の合意を行ったが、その映画化以後もブロフェルドと組織「スペクター」が登場し続けたため彼らに対してもブロフェルドと「スペクター」の著作権を主張して裁判を起こした。この訴訟後、『ユア・アイズ・オンリー』冒頭でブロフェルドらしき謎の男を倒したことにより映画製作者はこのキャラクターに対する決別をほのめかしたといわれる。以後、007シリーズにブロフェルトが直接登場することはなかった。しかし、2006年にマクローリーが死去し、イオン・プロが遺族と和解交渉の結果、2015年に公開した『スペクター』において34年ぶりに再登場を果たした。
ただし『ユア・アイズ・オンリー』におけるブロフェルドに似た人物の描写はスキンヘッド、立襟のグレースーツなどの外見のみの類似であり、本物のブロフェルドとしての登場ではなくマクローリーとの訴訟の副産物もしくはセルフパロディとして考えるべきで(本作品の時点で、マクローリーとの訴訟の決着はついていない)、本物のブロフェルドの登場・出演ではないと考えるのが妥当だろう。

ダニエル・クレイグ主演作品
『007 スペクター』
演:クリストフ・ヴァルツ
『ユア・アイズ・オンリー』のブロフェルドに似た人物の出演から数え、34年ぶりに登場。本作ではメインの悪役を務める。
本作でのブロフェルドの登場は制作中に厳重に隠され、演じるヴァルツも撮影中幾度ものマスコミのインタビューでも自分はブロフェルド役ではないと一貫して否定を貫き通した。
本名はフランツ・オーベルハウザー(Franz Oberhauser)といい、彼の父ハンスは両親を亡くした幼少期のボンドの後見人であり、ブロフェルトとボンドは血はつながってはいないが実質的な兄弟の関係にあった。父ハンスがボンドに愛情を注ぐことに嫉妬し、雪崩を起こして殺害。自らも死を偽装して行方を眩ます。以後、母方の血統より名前を拝借し、エルンスト・スタヴロ・ブロフェルドという新しい名前で組織スペクターを設立した。
旧作のイメージを彷彿とする描写が多く、立襟のマオカラースーツを着用し、北アフリカの砂漠のクレーターに作られたスペクターの拠点では白いペルシャ猫を飼っており、後半では拘束されたボンドの指示を受けたマドレーヌ・スワンが窮地を脱するべく投げつけた時限爆弾機能付きの腕時計の爆発で『007は二度死ぬ』の時と同様の顔の右側についていた長い傷を負う。
ダニエル・クレイグが演じるボンドシリーズにおいて直接登場するのは『スペクター』のみだが、同作において『007 カジノ・ロワイヤル』『007 慰めの報酬』『007 スカイフォール』における出来事すべてに関わっていたことが明かされている。

《ゲーム》
ブロフェルドと「スペクター」は2004年のゲーム化作品『GoldenEye: Rogue Agent』に登場した。スペクターは深海基地と強力な軍隊、進んだ技術を持つ秘密結社で、かつての007の敵役たちが所属している。

《影響》
様々な俳優が演じた様々な「ブロフェルド」は、007の亜流作品やパロディをはじめ、後世の映画やテレビ番組に登場する「悪の首領」像に大きな影響を与えた。「猫を膝に載せた、顔の見えない悪の首領」はもはや一つ一つ列挙することはできない。

最も印象的なパロディは、『オースティン・パワーズ』シリーズでマイク・マイヤーズが演じた悪の天才ドクター・イーブルであろう。





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