関連性なき二つの事件・・・。 | hiroチャンのブログ

関連性なき二つの事件・・・。


【全日空817便ハイジャック事件】
1977年3月17日に東京湾上空で東京国際空港発仙台空港行きの全日空817便が男によって占拠された事件。

場所:東京国際空港
標的:全日空 817便
日付:1977年(昭和52年)3月17日
概要:ハイジャック事件
死亡者:犯人1名
負傷者:乗客1名
犯人:暴力団員
動機:犯人が機内で自殺したため動機不明

同じ日に同じ航空会社、同じ行先の全日空724便ハイジャック事件が発生しているが関連性は無い。

被疑者が自殺した日本初のハイジャック事件でもある。

《事件の概略》
全日空817便は羽田空港から仙台空港に向う短距離航空路であった。同機には乗員7人、乗客173人が搭乗していた。午後6時半に離陸したが、離陸から2分後東京湾上空を上昇中の機内で暴力団員(当時26歳)が立ち上がり、客室乗務員にピストル(改造拳銃)を突きつけ「燃料が続く限り東京と仙台間を飛べ」と要求、乗客をピストルで殴打し、その際に拳銃が暴発した。犯人は支離滅裂な会話を客室乗務員に発していたが、運行乗務員は犯人とコンタクトできなかった。しかし、機内で発砲があった事が判明し、午後6時44分に緊急着陸する。

犯人が着陸後トイレに立て籠ったため、午後7時15分に捜査員が突入したが既に死亡していた。死因は青酸化合物を服用したこと。計画が頓挫したと思い自殺したと判断された。

《犯人の背景》
犯人は指紋の照会で身元が判明し、殺人未遂・窃盗・傷害・暴力行為などで11回の逮捕歴がある男だった。持ち物のメモには身代金の要求や、乗客と全日空社長の身柄を交換することなど、ハイジャックの計画内容が書かれていた。そのため身代金目的であったと推測されるが、犯人死亡のため犯行理由は定かではない。

自殺に使用した青酸化合物は横浜市鶴見区の工場から詐取したものであった。また犯人が泊まっていた簡易宿泊所から青酸化合物の残りと青酸による大量殺人事件が題材の推理小説が発見された。当時、青酸コーラ無差別殺人事件が世間を騒がせており、同年1月4日には2人が犠牲になっていた。被害者の男性とハイジャック犯人が隣り合わせの簡易宿泊所にいたことや、2月14日に発生した青酸入りチョコレート事件の現場では、付近でハイジャック犯とよく似た男が目撃されたことなどから、関連がある可能性もあったが、自殺したため真相は明らかになっていない。

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【全日空724便ハイジャック事件】
1977年3月17日に全日本空輸724便がハイジャックされかけた事件。

場所:函館空港
標的:全日空 724便
日付:1977年(昭和52年)3月17日
犯人:元国立大学生の無職の男
対処:乗客が犯人を取り押さえ函館空港へ緊急着陸後に北海道警函館中央署が犯人を逮捕。

《事件の概略》
全日空724便は千歳空港から仙台空港に向かう短距離路線として運航されていた。同機には乗員7人、乗客36人が搭乗していた。

午後0時40分ごろ青森県の下北半島上空5200メートルを巡航中、突如男がナイフのようなものを客室乗務員にかざし、操縦室のドアを開けるように強要した。

だが客室乗務員は犯行前から男の様子がおかしかったため警戒しており「トイレはこちらです」と対応した。すると男が逆上して客室乗務員にナイフを突きつけた。この行動に対し乗客4人がハイジャック犯を取り押さえた。

724便は午後1時24分に函館空港に緊急着陸し、北海道警察函館中央署に航空機の強取等の処罰に関する法律違反で逮捕された。

《犯行動機》
被疑者は当時27歳の北海道岩見沢市在住の元国立大学生の無職の男。犯行動機として大学で哲学を学んでいたが独学でもできると思い退学したが、思うようにいかなくなったため、親に経済的負担をかけたく、どこか近くの外国に行くためにハイジャックしようとしたという漠然とした動機であった。
凶器のジャックナイフは右足の土踏まずに隠して保安検査をパスしていた。

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【ハイジャック(hijack、hijacking)】
不法に輸送機関や貨物の強奪や乗っ取りを行うこと。特に航空機に対する行為に用いられ、日本の法律用語では「航空機強取」や「航空機不法奪取」と言う。

ハイジャックの手段には、武器などによる脅迫や威嚇・詐術などがある。ハイジャックの目的には、逃亡や亡命、金品の強奪や身代金要求、何らかの政治的意図の遂行などが挙げられる。また、心神喪失状態にあった者が起こした目的がはっきりしない事件もある。

ハイジャックを防止するため様々な対策が複合的にとられている。ハイジャック対策は国や空港・航空会社によって差異はあるが、国際条約により加盟各国による協調体制が構築されている。凶器や危険物が航空機に持ち込まれないよう規制されており、空港では手荷物検査などが行われている。機上では航空保安官が警乗し、ハイジャッカーの進入を阻止するよう操縦室のドアは強化されている。

《ハイジャック防止対策》
ハイジャックや航空テロを防止するため、様々な対策が複合的に講じられている。安全上の観点から詳細が公表されていない。
国際連合の専門機関としてICAOが設置される。ICAOによってハイジャック対策のための国際条約が作成され、航空保安に関する国際標準や勧告なども定められている。

2001年に9.11事件が発生した後には、保安措置のより確実な履行が各国に求められ、ICAOによる監査も行われるようになった。9.11事件までは、ハイジャッカーが生存を前提に行動するという考えに立っていた。しかし、9.11事件では最初から自爆を意図してハイジャックが行われたことで、以降は対策の方針転換が図られた。

《空港での保安検査》
ハイジャックの凶器となりうる銃や刀剣類などは旅客機への持ち込みが禁止。また、爆発物や発火または引火しやすいものなど航空機や搭乗者に危害を与えるおそれがある危険物は、機内への持ち込みが禁止・制限されているほか、液体物は持ち込める容量が制限されている。
搭乗前には、金属探知機やX線検査装置などを用いた手荷物検査が行われている。ペットボトルに危険物が入っていないかを液体物検査装置を用いて確認する場合もある。搭乗者が持ち込み禁止品を所持していないかを検査するため、ボディスキャナーを用いる空港もある。ボディスキャナーにはミリ波を全身に照射するアクティブタイプと、人体が発するミリ波やテラ波を検知するパッシブタイプがある。
受託手荷物や貨物は搭載前に、X線検査装置や爆発物検査装置などによって検査され、危険物等が機内に入るのを防いでいる。

《旅客情報のプロファイリング》
テロ活動自体を予防・阻止するため、各国ではテロリストへの資金供給の抑制策を講じたり、諜報活動を行ったりしている。
テロリストなどの移動情報を得るため、アメリカでは自動ターゲティングシステム (Automated Targeting System; 以下ATS) が稼働しているこのシステムでは国境を超える人や貨物の情報を収集し、全米規模でテロリストなどの情報を分析している。アメリカでは航空機の乗客名簿は政府に提出され、テロリスト・データベースと照合されたり、過去のテロ犯罪情報と符合されたりする。その結果、安全に対するリスクが高いと判断された乗客は搭乗を拒否されたり特別な監視が行われたりする。日本でも、他国から乗り入れる航空会社から乗客名簿の提供を受け、テロリストや不法入国者の入国を阻止する事前旅客情報システム (APIS) が運用されている。

《スカイマーシャル制度》
航空保安官は武装した警官あるいは警備員であり、スカイマーシャルとも呼ばれる。航空保安官は飛行中のハイジャックを防止することを任務とし、乗客を装い私服で旅客機に警乗する。航空保安官の人数や装備・搭乗便名といった具体的内容は保安上の観点から原則非公開である。

《操縦室ドアの強化》
旅客機の操縦室のドアには、侵入や攻撃を防ぐ対策が施されている。小火器による射撃や手榴弾の破片などに耐えられるように、防弾性のある素材が使用されている。
運航中は常に施錠されており、扉の外に不審な人物がいないか、各操縦席から監視できる。