Iriomote cat Iriomote wild cat | hiroチャンのブログ

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===3月14日の出来事は===

1965年
日本哺乳動物学会により西表島で新種の山猫の生息が確認。1967年にイリオモテヤマネコ(西表山猫)と命名。
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【イリオモテヤマネコ(西表山猫)】

分類
界 : 動物界 Animalia
門 : 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
綱 : 哺乳綱 Mammalia
目 : ネコ目 Carnivora
科 : ネコ科 Felidae
属 : ベンガルヤマネコ属 Prionailurus
種 : ベンガルヤマネコ
P. begalensis
亜種 : イリオモテヤマネコ
P. b. iriomotensis

学名
Prionailurus bengalensis iriomotensis
(Imaizumi, 1967)

和名
イリオモテヤマネコ
英名
Iriomote cat
Iriomote wild cat

イリオモテヤマネコ(西表山猫、Prionailurus bengalensis iriomotensis)は、ネコ科ベンガルヤマネコ属に分類される、ベンガルヤマネコの亜種。
1965年、沖縄県の西表島で発見された。20世紀に入って発見された中型以上の哺乳類は稀有であり、当初は、ネコ類でも原始的な形質を有する新属・新種と発表された。しかし、現在は遺伝情報の分析により、独立種ではなく、アジア東部に生息するベンガルヤマネコの亜種に分類されている。国の特別天然記念物。

分布は日本(西表島)の固有亜種。 西表島は面積が290平方kmほどで、これはヤマネコの住む島としては(またヤマネコの生息域としても)世界最小。
分布域内では、主に標高200メートル以下にあるスダジイやカシからなる亜熱帯もしくは暖帯の森林に生息する。河川の周辺や低湿原、林縁などを好む。

体長はオス55-60㎝、メス50-55㎝、体重はオスで3.5-5㎏、メスで3-3.5㎏とオスの方がメスよりやや大きい。尾は先端まで太く、尾長は23-24㎝。胴が長く、四肢は太く短い。
全身の地色は暗灰色や淡褐色で、腹部や四肢の内側はより淡く、あごは白色である。頭部の暗褐色の斑は頬に左右に2本ずつあり、他のベンガルヤマネコのように額から背面にかけて5-7本の縞模様が入るが、他のベンガルヤマネコとは違い肩の手前で途切れる。体側面には暗褐色の斑点、胸部には不規則に3-4本の帯模様が入る。尾全体は暗褐色であり、尾背面には不規則に暗褐色の斑点が入るが、尾腹面に斑紋が入らず、先端は暗色である。
耳介の先端は丸く黒色の毛で縁取られ、先端の体毛は房状に伸長しない。また成獣の耳の背面は白濁色の虎耳状斑とよばれる斑紋がある。この虎耳状斑は、他のベンガルヤマネコは幼獣の時から小さな白濁した斑があり、成長するにつれ白色になるが、イリオモテヤマネコは幼獣にはこの虎耳状斑は無く、成長しても白色にはならない。虹彩は淡い琥珀色である。吻端の体毛で被われない板状の皮膚(鼻鏡)は淡赤褐色をしており、大型で、鼻面も太い。肉球の幅はイエネコの24-30㎜より大きく、29-37㎜である。
頭骨はイエネコに比べて細長いが、他のベンガルヤマネコとは大きな違いはない。しかし、他のベンガルヤマネコよりも頭骨が厚く、その分脳の容量も小さく、脳の重量は他のベンガルヤマネコのオスの42gに対して、イリオモテヤマネコのオスは30gと小型である。後頭骨の突起と聴胞が接しない。下顎の縫合部が短い。歯列は門歯が上下6本、犬歯が上下2本、小臼歯が上下4本、大臼歯が上下2本の計28本で、ヤマネコなどのネコ類より上顎前臼歯が1対少ない。亜熱帯に生息する哺乳類には珍しく、歯に年輪ができることが確認され、これにより年齢別での行動分析などができるようになると期待されている。 臭腺(肛門腺)は他のベンガルヤマネコを含む他のネコ類は肛門内にあるのに対し、イリオモテヤマネコは肛門を取り囲むように存在する。

1967年の学会発表時には、イリオモテヤマネコは食肉目ネコ科の新属イリオモテヤマネコ属の1属1種 Mayailurus iriomotensis とされた。今泉は世界のヤマネコの中でも特に原始的な特徴を形態に残すものと指摘、その点から約1000万年前の中新世から、約300万年前の鮮新世前期に出現した、化石群メタイルルス属Metailurusと近縁な原始的な特徴を残した種であるとした。そういった観点から1000万年前の中新世から500万年頃前までの鮮新世に出現したネコ亜科の共通祖先であるメタイルルスによく似た特徴があると主張し、このことから、イリオモテヤマネコの祖先は約300万年前に大陸から西表島などに分布域を広げたとした。

一方で、他の専門家からはそれほど特殊なものではないとの見方が当初から強く、現在は、遺伝子解析による分子系統学の研究から、独立種ではなく、約20万年前に西表島に渡来したベンガルヤマネコを祖先とする、ベンガルヤマネコの亜種とされている。
核型や核内のリボソームRNAの制限酵素断片長、ミトコンドリアDNA内の12S リボソームRNAおよびチトクロムbの分子系統学的解析はベンガルヤマネコと一致あるいはほぼ一致し、非常に近縁(ネコ科他種における種内変異あるいは個体変異の範疇)と推定されている。チトクロムbの塩基置換速度および多様度からベンガルヤマネコの他亜種とは18-20万年前に分化したと推定され、海洋地質学でも2万-24万年前には琉球諸島および大陸間に断続的な陸橋があったと推定されていることからこの時期に侵入したと推定されている。本亜種内の遺伝学的多様性は乏しいと推定されている。
なお、化石種であれば、おそらくイリオモテヤマネコに近いヤマネコ類は、ベンガルヤマネコ科、オオヤマネコ、ヒョウ、ライオンまたはトラなどとともに本州でも産出している。

夜行性で、特に薄明薄暮時に活動する。昼間は樹洞や岩穴などで休む。1-7平方㎞の行動圏内で生活する。行動圏内にある石や切り株、藪などに糞尿をかけて縄張りを主張する。地表性だが、樹上に登ったり、水に入ったり、潜水することもある。

食性は動物食で、哺乳類や鳥類、爬虫類、両生類、魚類、甲殻類などを、日に400-600gを捕食する。他のヤマネコ類はネズミ類やウサギなどの小型哺乳類が主要な餌であるのに対し、西表島にはネズミ類やウサギなどの小型哺乳類が元来生息していない上にイリオモテヤマネコと競合するような肉食哺乳類が他には生息しておらず、生息環境や餌資源などの棲み分けが必要ないために、様々な生物を幅広く餌としている。
哺乳類ではクマネズミ、クビワオオコウモリ、リュウキュウイノシシの幼獣などを、鳥類ではカルガモ、オオクイナ、コノハズク、シロハラ、シロハラクイナ、爬虫類ではヘビ類や、キシノウエトカゲ、両生類ではサキシマヌマガエルなどを、その他、マダラコオロギ、カニなどを食べる。ツグミより大きい鳥を捕食する際、他のネコ類は羽毛をむしって食べるが、イリオモテヤマネコは大きな鳥類でも羽毛をむしらず丸ごと食べる。他の多くのネコ類のように脊髄を破壊して獲物をすぐに仕留めることはせず、動かなくなるまで咥え続ける。狩り場の中心は湿地や水辺であり、水に入って泳いだり潜水して水鳥や魚、テナガエビ類などを捕らえることもある。
糞分析の結果では、食料の中で出現率が多いのは、鳥類が約60%、クマネズミが約30%、昆虫類が約30%などであり、トカゲ類やカエル類は15-20%程度で、クビワオオコウモリの出現率は3-17%、リュウキュウイノシシなどの出現率は1%弱ほどである。その他の魚類や甲殻類の出現率は3-4%程度である。推定重量に対する出現率が多いのは水鳥類であり年間を通して60%前後、次いでクマネズミが年間を通して10-30%ほどを占める。
食性には季節による変化も見られ、クマネズミやカエル類は年間を通して捕食され、春から夏にかけてはトカゲ類、秋から冬にかけてはマダラコオロギやクビワオオコウモリが多くなる傾向にある。

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