Do Androids Dream of Electric Sheep? -4- | hiroチャンのブログ

Do Androids Dream of Electric Sheep? -4-


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《映画化作品》
多数のディック作品が映画化されてきた。ディック本人が1974年にジャン=ピエール・ゴランによって映画化されるはずだった『ユービック』の映画用脚本を書いたことがあるが、このときの企画は頓挫した。その後、ディック自らが書いたシナリオが出版された(『ユービック:スクリーンプレイ』)。また、ブライアン・オールディスが『火星のタイムスリップ』の映画化をスタンリー・キューブリックに薦めていた時期があったという。映画の多くはディックの原題をそのまま題名にしていない。これについてかつての妻Tessa(レスリー・バズビー)は「実際、ディック本人がつけた題名が本の題になったことはほとんどない。いつも、編集者が原稿を読んだ上で題名を決めていた。フィルはよい題名が思い浮かばないとよく言っていた。それができるようだったら作家じゃなくてコピーライターになっていたでしょう」と語っている。

映画化作品の売り上げの累計は2009年現在で10億ドルに達している。
ブレードランナー(1982年)
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(1968年) の映画化。監督リドリー・スコット、主演ハリソン・フォード。
出版後早くから映画化の話が持ち上がり、マーティン・スコセッシが映画化権の獲得を目指したが、失敗している。1970年代初めには映画プロデューサーのハーブ・ジャッフェが権利獲得を目指すが、ディックは彼の草稿を気に入らず拒否した。その後、1975年にハンプトン・ファンチャーが権利獲得の交渉を行ったものの成立せず、ファンチャーの知人を介した話し合いで1977年にようやく映画化が決定した。しかし、ディックは彼が書きあげた脚本を気に入らず、何度も改稿がなされた。プロデューサーのマイケル・ディーリーは監督にスコットを推していたものの、初め彼は断った。しかし、当時監督に内定していた『デューン/砂の惑星』の制作が思うように進まないことに不満を持ち降板、オファーを受け1980年2月に監督に就任した。
脚本の執筆が遅れていたファンチャーは、スコットとの意見の相違もあって同年12月に降板、デヴィッド・ピープルズが起用され、彼の改稿で撮影が開始された。ディックは映画化権を譲渡して以降の制作には関わっていないが、撮影が進行してからも映画の出来栄えを不安視し、ノベライズ版の執筆も断っている。しかし、2019年のロサンゼルスを描いたVFXシーンのラッシュプリントを観たディックは、「まさに私が想像していた通りだ!」と喜んだという。スコットはそもそも原作を全く読んでいなかったが、その後ディックと映画のテーマについて入念に話し合った。彼らの視点は全く異なっていたが、やがてディックはこの映画を完全に支持するようになり、「SFの概念そのものにとって革命的な作品となる」旨の、期待を認めた手紙を制作会社に送るほどであった。しかし、彼は映画の完成を見届けることなく亡くなった。

トータル・リコール(1990年)
短編「追憶売ります」の映画化。監督ポール・バーホーベン、主演アーノルド・シュワルツェネッガー。現実と虚構の混乱、人間に口答えする機械、自身のアイデンティティに疑いを持つ主人公といったディック的要素がある。

バルジョーでいこう!(1992年)
普通小説『戦争が終わり、世界の終わりが始まった』の映画化。フランスでのディック人気を反映し、フランスで製作された。原作に最も忠実である。作中のテレビ番組にディックのSF短編がオマージュとして使われている。

スクリーマーズ(1995年)
短編「変種第二号」の映画化。監督クリスチャン・デュゲイ、主演ピーター・ウェラー。原作は戦争で荒廃した地球が舞台だったが、異星に変更されている。主演を変えた続編 Screamers: The Hunting がオリジナルビデオ (DVD) として2009年に発売されている。

クローン(2001年)
短編「にせもの」の映画化。なお、この短編小説は1962年にイギリスでテレビドラマ化されたことがある。

マイノリティ・リポート(2002年)
短編「マイノリティ・リポート」(旧題:「少数報告」)の映画化。監督スティーヴン・スピルバーグ、主演トム・クルーズ。原作とはプロットがかなり異なり、アクションシーンが追加されている。

ペイチェック 消された記憶(2003年)
短編「報酬」の映画化。監督ジョン・ウー、主演ベン・アフレック。

スキャナー・ダークリー(2006年)
長編『暗闇のスキャナー』の映画化。監督リチャード・リンクレイター、主演キアヌ・リーブス、ウィノナ・ライダー。ロトスコープを使っている。

NEXT -ネクスト-(2007年)
短編「ゴールデン・マン」の映画化。監督リー・タマホリ、主演ニコラス・ケイジ。映画の舞台は未来から現在に変更されている。

アジャストメント(2011年)
短編「調整班」(1954年)の映画化。主演マット・デイモン。

トータル・リコール(2012年)
短編「追憶売ります」の2度目映画化。監督レン・ワイズマン、主演コリン・ファレル。1990年版より原作に忠実に映画化されている。

Radio Free Albemuth(原題)(2014年)
『アルベマス』の映画化。2010年頃にいくつかの映画祭で上映されているが、一般の劇場公開はアメリカで2014年6月27日。

映画化が発表された作品編集
2008年4月、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオズが短編「妖精の王」の3Dアニメーション映画化を発表した。

2009年5月、『ターミネーター4』を製作した The Halcyon Company が『流れよ我が涙、と警官は言った』の映画化を発表した。

《ドラマ化作品》
マイノリティ・リポート
映画『マイノリティ・リポート』の後日譚として、2015年9月からドラマシリーズ『マイノリティ・リポート』が放送された。

高い城の男
『高い城の男』に基づいて、ドラマシリーズ『高い城の男』がAmazonオリジナルドラマとして2015年から配信されており、2016年にはシーズン2も配信された。

フィリップ・K・ディックのエレクトリック・ドリームズ
2016年から、10エピソードからなるアンソロジー・ドラマシリーズがソニー・ピクチャーズ・テレビジョンによって製作されている。イギリスでは2017年9月17日からチャンネル4で放送、日本やアメリカではAmazonビデオによって配信されている。

真生活(『展示品』に基づく)
自動工場
人間らしさ
クレイジー・ダイアモンド (『CM地獄』に基づく)
フード・メイカー
安全第一 (『フォスター、お前はもう死んでるぞ』に基づく)
父さんに似たもの
ありえざる星
地図にない街
よそ者を殺せ (『吊されたよそ者』に基づく)

《舞台とラジオ》
少なくとも3作品が舞台で上演されている。1つはオペラ『ヴァリス』で、1987年12月パリのポンピドゥー・センターで初演された。作詞作曲は Tod Machover。その後、英訳され若干の改変後イギリスでも上演され、1988年にCDも発売された。Linda Hartinian が脚本を書いた『流れよ我が涙、と警官は言った』が1985年6月にボストンで上演され、その後ニューヨークとシカゴでも上演されている。『アルベマス』を原作とする舞台も1980年代に上演された。
ラジオドラマ化作品としては、フィンランドで1996年に放送された Menolippu Paratiisiin(原作は短編 "Mr. Spaceship")がある。1956年にはNBCが X Minus One という番組で短編「植民地」と「地球防衛軍」をラジオドラマとして放送している。

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