それから 何もなかったように

いつも通りに毎日を過ごしていた


まわりからはそう見えていたと思う



でもあの日から 私は別人になった


私の中の悪いものが

(悪いものって言うより

本性 本当の姿って言うほうが合っているかな)


どんどん罪を重ねていくことになった



ここからは自分で文章にしていくのも怖いくらい

今でも信じられないことを平然とやった




あの頃の私は


お金を手に入れるためなら

人殺しだってしたんじゃないかな 

そう思うくらい



狂っていた





誰もいない教室

誰のでもいい


カバンから財布を抜き取り

お札から

小銭まで

根こそぎ 盗んだ


私は元々貧血でよく保健室にお世話になっていた


だから授業中でも簡単に1人になれた

とるのはビックリするほど簡単だった



最初はバス賃さえあれば満足だった


だけど いつしか

ユキヤと遊ぶためのお金 まで


どんどん歯止めが利かなくなっていく



最初は知らない人のお金を狙っていた


でも

ターゲットは近くの確実なものになっていった



友達



自分の欲を満たすなら

簡単に裏切ることができた



その頃の私にはできていた




ユキヤに会うためには お金が必要



毎日呪文のように 

頭の中はそればっかり考えていた



高校生になって

お母さんには毎日お小遣いもらっているし

妹弟たちにもお金かかって大変そうだし

これ以上は貰えない

お願いできない


お母さんには頼めなかった



今思えば、バイトっていう手もあったんだけど

当時の私は

「ユキヤに会いたい」

そればっかりだったから

バイトして稼ぐ なんて

考えすらしなかった



そして はじまりの日


その日は 台風 だった


珍しくサヤのところにもユキヤのところにも行っていなくて

お家で暇な時間をすごしていた


その頃の連絡手段と言えば

懐かしい 【ポケットベル】


当然のようにユキヤにメッセージを入れていたけど

ユキヤからの返信は来なかった


冷静に考えれば

ユキヤはお家に電話がない

返信するには外に出て

公衆電話まで行かないといけなかった


その日は台風

外に出るなんて 普通はしない


なのに私は返信がないことに

いろいろな感情が出てきてしまって

いてもたっても居られなくなって


タクシーを呼んだ


台風だろうが

家族が心配しようが

そんなのどうでもよかった


ユキヤに会いたい

今何してるのか知りたい

それだけ



タクシーに乗った

料金が当たり前だけど上がっていく


私はドキドキしていた


そして 罪を犯した



ユキヤの家から少し離れた住宅街に停めてもらい

「家からお金取ってきます」 と大嘘ついて 

走って逃げた


大雨と凄い風


風と雨に打たれながら

私は必死に走った



男に会いに行くためだけに

人を騙して

罪を犯した



車のライトにおびえながら

必死に走ってやっとユキヤのアパートに着いた


部屋の電気はついていた


びしょ濡れの私を見て

ユキヤはビックリしていた

優しく迎えてくれたんだ











ユキヤは同い年で

ケンと同じ中学校の出身

高校は地元からはなれた工業高校に入学したので

高校の近くにアパートを借りて

高校入学と同時に

1人暮らしを始めたらしい


体形はちょっとガッチリ系で

顔は・・・

正直好みでも何でもなかった


だけど 付き合って

私は洗脳されたんじゃないかってくらい

ユキヤのことが好きになっていた


ユキヤと同中だったサヤに

昔の写真を見せてもらったり

付き合っていた子を教えてもらって

1人ヤキモチやいたり

学校でもずーっとユキヤのことばかり考えていた


その頃私は

学校→サヤの家orユキヤの家

→週3ペースでサヤかユキヤの家にお泊り


こんな生活を送っていた


こんなだから

家ではいつもお母さんに怒られる


だから余計にお家にいたくなかった


でも、ユキヤのお家に行くにはお金が必要だった



私は毎日昼食代でお母さんから500円もらっていた



弁当とジュースを買ってしまうと

あっという間になくなってしまうから

いつもおにぎり一個か

パン一個とジュース1本で我慢


残りのお金を貯めてユキヤの家に行っていた


それでもお金が足りなくなると

お母さんに無理言ってもらったり

嘘をついたこともあった



ユキヤのお家に行くと

やっぱり1人暮らしって事もあって

ご飯の材料買って持って行ったり

ジュースやお菓子、お酒代

いろいろとお金がかかった


ユキヤもバイトしている訳でもなく

親からもらっている生活費で

やりくりしていかないといけないから

いつもお金がないって言ってた


自分の分は自分で何とかしないと

ユキヤに迷惑は掛けられない


いつもそう思っていた



ユキヤに会いに行くためにはお金が必要


いつしか私はユキヤに会いたい為に

お金がいっぱい欲しいと思うようになっていた