ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE1 54点 7月27日 | マンガ、アニメ、映画などの研究と考察。

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 2023年7月27日、ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE、映画館で観た。最初にいうが、映画館で観る価値はない。

 

 長尺でテンポが悪く、脚本が悪すぎる。

 トムクルーズは相変わらず魅力的で、スター性に溢れているし、アクションはそこそこ良い。

 

 だが、テンポが悪すぎて、眠たくなる。特にグレースというスリ女のヒロインに魅力が全く無い。

 

 レベッカ・ファーガソンが演じるイルサ・ファウストの方が何倍も美しく魅力的。なぜ、レベッカ・ファーガソンをヒロインにしなかっただろうか。これは本作の最大の失敗の一つである。

 

 やはり、スパイ映画のヒロインは美人でないと駄目だ。

 

 なぜ、グレース役の(ヘイリー・アトウェル)などいう女優を起用してしまったのだろう。こういう『顔』の女性はスパイ映画やファンタジー映画には登場させてはならない。

 

 映画は『顔』が命なのだ。ヘイリー=アトウェルは、41歳で年齢的にスパイ映画のヒロインをやるには年を取り過ぎている。

 

 スパイ映画に似合う『顔』ではない。

 

 グレースは、自分の欲望の充足だけが目的で、物欲を満たす事だけを目的として生きる女なので、感情移入にしにくい。

 

 登場人物に観客が感情移入できないヒロインなど、映画にとっては邪魔でしかない。

 せめて、病気の娘の為に仕方なくスリとして生活している、とか観客の道徳観を納得させる理由が欲しかった。

 

 監督や脚本家、プロデューサーは、そういう事を理解して映画を作らないといけない。

 

 トムクルーズ演じるイーサンハントが、突如、なぜかグレースに惚れるのだが、感情の機微を映画で描写していないので、惚れる理由が分からない。

 

 なんでイーサンハントが、グレースというスリ女に好意を抱くのか意味不明。唐突にイーサンハントがグレースに好意を抱く様を観て、不自然さに失笑してしまう。

 

 そして、グレースというスリ女も急に正義に芽生えるのだが、正義に芽生えるだけの行動原理がないので、観ている方は「アホらしい」と思ってしまう。登場人物の心理描写はもっと丁寧にするべきだろう。

 

 そもそも、グレースというスリ女は、ストーリーにおいて邪魔でしかない。ちょくちょく、スリを働いてイーサンハントの行動を阻害するので観ていてイライラしてくる。

 

 スパイ映画なのだからスピード感があるストーリーにしないといけないのに、グレースという存在がストーリー展開の邪魔になっている。

 

 

 

 今回の悪役は、【進化したAI】という使い古されたモノだった。マクガフィンとして使い古されている上に、説明不足で理解不能。緊張感が皆無である。

 

 

 とにかく間が悪くテンポが悪いので、眠たくなる。

 ミッション:インポッシブルシリーズで眠たくなったのは初めてである。

 

 アクションやカメラワークに迫力があるのでギリギリ眠らずに済んだ。だが、ミッション:インポッシブル1の時のような緻密でテンポの良いストーリーとは雲泥の差。

 

 また、あまりにもご都合主義が多すぎる。いきなり原因不明でマスクを作る装置が故障したり、トムクルーズが、オリエント急行に飛び込む時に、偶然に敵を倒したりする。

 

 イーサンハントがいきなり、政府施設に乗り込み、上司のキトリッジに忠告をするのだが、わざわざ政府施設に乗り込む必要がない。

 

 しかも、その際に、政府に勤める高官たちを毒ガスで眠らせてしまう。

 これは上司とアメリカ政府に対する反逆行為であり、スパイがこんな事をしたら即座にクビである。こんな事もこの映画監督は理解できないのか? 

 

 キトリッジに忠告したいなら、キトリッジの家か通勤途中にでも会いに行けば良い。政府施設に潜入して情報を得たいなら、他にも盗聴器を仕掛けるなど方法が幾らでもあるだろう。

 

 トムクルーズに見せ場を作らせる必要があるのは分かるが、無意味に政府施設内部に潜入して、毒ガスで上司や政府高官を昏睡させるなど、イーサン=ハントは悪のテロリストか?

 

 悪役も迫力がなく、なぜ『それ』という超AIを手に入れようとするのか、全く説明がない為、「この悪役は、なんでこんなに必死になっているのか」、と映画を観ながら首を捻る。

 

 また、ホワイト=ウィドウ(白蜘蛛)という裏社会の実力者の女の悪役が出てくるが、なぜかアメリカ政府はキトリッジを派遣して、ホワイト=ウィドウと穏便に話し合って取引をして、重要機密を入手しようとする。馬鹿馬鹿しいの一言である。ありえる訳がないだろう。

 

 

 アメリカ政府が、自国の国益の為に動き出したら話し合いなどしない。善人だろうが悪人だろうが、特殊部隊を派遣して拉致監禁、拷問してホワイトウィドウから重要機密を強奪するに決まっているだろう。

 

 それがアメリカだ。善良な民間人を数万人単位で虐殺するのがアメリカではないか。過去の歴史がそれを証明している。

 武器商人のホワイトウィドウ相手に紳士的な話し合いなどするわけがない。

 

 

 

 

 今回の映画は失敗作である。前編、後編にする必要がなかった。2時間40分は長すぎる。

 

 マクガフィンとしての【それ】と呼ばれる進化したAIという存在は、それ自体があまりに使い古されているテンプレなのだから、もっと上手く機能させないと、物語の魅力がなくなる。

 今回は機能していなかった。

 

 この映画は、120分できっちりと完結まで纏めるべきだった。残念。

 脚本が悪いために、映画の魅力が全く無い映画だった。

次回は、脚本づくりに心血を注いで欲しい。

 

 トムクルーズが崖から飛び降りるアクションは、映画の中では全く迫力がなかった。演出が悪いと、トムクルーズがいくら頑張っても、その迫力と凄みが観客に届かない。

 

 こういう事をちゃんと理解して、トムクルーズという希代の映画俳優の魅力を十全に活かせる演出と脚本にして欲しい。