今更なんですけど、去年の秋頃からちまちまとアニメのワンピースを見ています。今インペルダウン編まできた。

ワンピース、実はちゃんとじっくり読んだことなくて。途中途中拾い読みというか、あらすじはざっくり知ってる、くらいの感じでした。漫画を一から読む時間はないけど、アニメなら作業しながら見れるし、一話からちゃんと見てみるか、と思って。


見た感想なんですけど、予想以上に政治的なストーリー…というか政治の話ど真ん中でびっくりした。なんかネットのオタクの人で、ワンピースはポリコレ気にせず楽しめるエンターテイメント!って言ってる人が結構いたから、そうなん?って思ってたけどジェンダー以外はポリコレど真ん中じゃん。ど直球にポリコレ作品じゃん…これがポリコレじゃなかったら何がポリコレなんだ…?ってくらい政治的正しさについて描くじゃん…。

人種差別や奴隷制、権力の腐敗はメインテーマとして出てくるし、民衆の描き方もレジスタンスだけでなく、現実から目を背けて権力に迎合する(それ故に滅びの道を進む)大衆も描かれてるし。あとロビンのオハラのくだりは、「歴史修正主義」の話ですよね。治世者が自分達にとって不都合な歴史を意図的になかったことにする或いは捻じ曲げる、真実を語ろうとする民を弾圧する…っていう…(今まさにロシアがやってるアレ)。

もしかしたらワンピースはポリコレじゃない政治の話じゃないという主張は、主人公たちが政治に興味を示さないという点からきてるのかもしれない。

でもメタ的に物語を見た時に、この構造こそが一歩踏み込んで政治を描いてるなと感じました。

ルフィは政治に興味がなく度々それを口にしてるけど、実際は政治的な問題に巻き込まれ(或いは自ら首を突っ込み)、結果的に父親である革命家ドラゴンと同じように世界政府の企みを幾度も潰しています。

ルフィの動機はいつだって仲間を守りたい、友達を助けたいっていう単純かつ個人的なものだけど、その望みを叶えようとした時、政治の話にならざるを得ない。ロビンを助けることは歴史修正との戦いになるし、奴隷になった友達の人魚を助けようとすれば権力者に物申すことになる。

個人的な動機が結果的に政治の話に広がっていく様は、まさしく「個人的なことは政治的なこと」を描いているなって思いました。

本来、政治と個人の生活は密接に繋がっているので、生きていくのに政治を切り離すことは出来ないんですよね。そこを物語を通して表現してるな…というのが今のところの感想です。

そういう意味では(ジェンダー以外は)ハリウッド作品ばりにポリコレ作品だなって思いました。